「カッターシャツってなに? え! オレの着てるのってワイシャツじゃないの?」
「あなたのはワイシャツ。だってスーツ着てるでしょ」 「あら、珍しい。襟、ボタンで留めるタイプ? 久しぶりに本物のワイシャツ見たわ~。お茶でもいかが?」
……言ってる意味が分かりません……
「カッターシャツ」と「ワイシャツ」、同じような見た目を持つ2つの「シャツ」。皆さんはどちらの名前で呼んでいますか?
- どうして名称が統一されていないのか?
- 定義にはしっかりと違いが記されているのか?
- そもそもこの2つ、別物のシャツなのか?
「?」だらけの上、「ドレスシャツ」との呼び名もある、に至っては、もうその謎はカオス的……。
ですがご心配には及びません!! 物事には大抵納得のいく答えがあるもの。
「カッターシャツ」と「ワイシャツ」、2つの違いをご解説いたします。
そうだったのか! と少しでもスッキリしていただければ幸いです!
カッターシャツとワイシャツの違いを超簡単に解説
実は最大の違い、となるのはシャツの形状や色などの違いではなく、呼ぶ地域の違い。当たり前のように「〇〇シャツ」と呼んでいたものが、お住まいの地域をちょっと外れると、実は全然違う名前で呼ばれることになるのです。
……? なんで?
本当に「なんで?」ですね。
ではそれぞれの「シャツ」、特徴や生い立ち(?)などを見ながら、その疑問を解決していきましょう!!
カッターシャツとは?定義はあるの?
英語表記では「cutter」の「カッターシャツ」。誕生は大正7年(1918年)、ほぼ1世紀前。大昔です!
スポーツメーカーの「ミズノ」さんがスポーツ用シャツとして(ボート競技のカッター『レガッタと呼ばれるもの』のため)売り出したことが始まりです(その頃はミズノさんは『美津農』の社名でした)。商品名として、生まれたわけです。
時代を経て、スポーツ用だけにとどまらず、現在の「ワイシャツ」とほぼ同義の用途、形となるものの、その名称が今に至るまで受け継がれている、というのはやはり凄いこと。ミズノさん、さすがです!
そしてその呼び名の違いに地域性が見られることの背景には『ミズノ=美津農』の本社が大阪にあった、ということが挙げられます。
現在でも関西圏では多くの方が「カッターシャツ」をあの例のスーツなどの下に着る「サラリーマンの方の正装とも言うべきシャツ」の名称として使っています。
本社が近くにあり、より馴染み深かった、というのが「カッターシャツ」の名が浸透していった大きな要因となりました。
日露戦争の戦勝記念に売り出され、『勝った~! シャツ』などの由来などもあります。遊び心のある、楽しいエピソードですね。
ですが語源、つまり「定義」を見ると、
・ワイシャツで、襟(えり)とカフスが取り外しのできないもの。
……「ワイシャツ」、なのですね。
大阪に本社を構える「ミズノ = 美津濃」が売り出したスポーツ用シャツから始まり、特に「ワイシャツ」でも困らないけどあえて「カッターシャツ」と呼ぶ。
そのこだわりを持つものが「カッターシャツ」とも言えそうですね!
ワイシャツとは?定義はあるの?
◆出張で使える! シャツをキレイにたたむ方法 【For M公式】「Y]の文字を当てられることの多い「ワイシャツ」。
どうして「Y]なのでしょう。
・「襟(えり)をはずした時の身ごろがYの字に見えるから」
です。
……襟、普通はずしませんよ……
はい、そうなのです。
今では、ワイシャツに解体部分はないのが一般的ですが、かつては「襟とカフス」をボタンで留めるタイプのものも多くありました。
そんなワイシャツの定義ですが、
・前開きで、台襟・カフス・前立てのついたシャツ
ここさえクリアしていれば「ワイシャツ」のようです。定義は広そうですね。
カッターシャツとワイシャツの詳しい違いとは?
謎は少し薄まってきましたでしょうか?では続いて、皆様が「これぞワイシャツ(もしくは「カッターシャツ」)!」と思われるものを思い浮かべつつ、2つの違いを具体的に比較していってみます。
もともとの由来は?
・ワイシャツ: white shirt = ホワイトシャツ = 白いシャツ清潔そうですね!
→ ですが、現在では「ホワイト(白)」に限らず、柄物や色付きのシャツも平気で「ワイシャツ」と呼ばれています。
スーツなどの下に着るシャツが「ワイシャツ」の総称で呼ばれています。
・カッターシャツ: 大正7(1918)年にミズノ(当時は『美津農』さん)が売り出した、スポーツ用のシャツ。現在では主に関西で「ワイシャツ」と同義で、多く使われています。
→ 諸説ありますが、「カッターシャツ」の名称は、創業者の「水野利八」さんのセンスから生み出された造語です。
どうして呼び名が違うの?
・ワイシャツ: いや、もともとワイシャツなんで……なんのことだか……・カッターシャツ: ボート競技用に作られたシャツかもしれませんが、日露戦争にも「勝った~」ことだし「カッターシャツ」でいきましょうか! ミズノさんは関西の宝ですから!
→ 「ミズノ(= 当時の美津濃)」の本社が大阪にあったことが、やはり関西圏に「カッターシャツ」の名を浸透させた大きな理由となっています。
関東と関西、そんなに呼び方が違うの?
はい、結構違うのです、びっくりするほど違うのです。以下、統計ですが地域ごとの呼び名を挙げてみます。
・積極的に「ワイシャツ」派
福島 / 茨城 / 群馬 / 東京 / 神奈川 / 長野
・こだわりの「カッターシャツ」派
岡山 / 兵庫 / 長崎 / 広島 / 滋賀 / 奈良 / 大阪 / 佐賀 / 岐阜 / 三重 /
和歌山 / 京都 / 福井 / 山口 / 愛媛
→ 「ワイシャツ」と呼ぶ地域より「カッターシャツ」と呼んでいる地域の方が多いのですね!
福島 / 茨城 / 群馬 / 東京 / 神奈川 / 長野
・こだわりの「カッターシャツ」派
岡山 / 兵庫 / 長崎 / 広島 / 滋賀 / 奈良 / 大阪 / 佐賀 / 岐阜 / 三重 /
和歌山 / 京都 / 福井 / 山口 / 愛媛
→ 「ワイシャツ」と呼ぶ地域より「カッターシャツ」と呼んでいる地域の方が多いのですね!
ふーん、地域の違いなんだ
そうでもないようです。「カッターシャツ」と「ワイシャツ」の謎は深いのです!
使い分けてます!
愛知 / 大阪 / 兵庫 / 福井 / 富山え? どこで?
・ワイシャツ: 前開き・襟が立っているのも・カフスがついているもの / 前立て(シャツで言えばボタンをつける部分のことです)のついた「シャツ」/ 男性がスーツなどの下に着るもの / 襟とカフスが別につけられるもの(特に京都の方)・カッターシャツ: その限りではない、学生服等の下着として着用されるもの
→ 何となくですが「ワイシャツ」の方に正装感が見受けられます。
「ちょっと休憩」なお話
昔、ワイシャツは完全に下着として使用されていました。上着があるのが前提ですね。
ワイシャツ(または「カッターシャツ」)の裾が長いのにも理由があります。
女性用の下着(いわゆるショーツ)よりも男性用のパンツ的なものは開発が遅れていました。
1930年代に「ブリーフ」が販売されるまで「シャツの裾を股の位置でボタン留め」て、その代わりとしていたのです。斬新と言えば斬新ですが。
「カッターシャツ」も「ワイシャツ」も……それぞれの名称を与えられ独立していますが、原点はこちらなのです。
この違いって、男性だけ?
う~ん。今は女性でもワイシャツもしくはカッターシャツを着こなす方もおられるかと思います。
ですが、そもそもは男性用ですね。なにせ元を正せば下着用として作られたものなので……
マニッシュな感じで着こなすのはちょっとかっこいです、憧れます!!
女性用には「ブラウス」。
裾の長くないものが「ワイシャツ・カッターシャツ」の代わりにあります(下着代わりにする必要がありません)。
また、冒頭にも書きましたが「ドレスシャツ」、こちらも「ワイシャツ・カッターシャツ」を紳士用品等でオシャレに呼んだものです。
終わりに…
自由な呼び名が、それぞれのニーズにより定着していく、というのは、何とも楽しい違いを生んでくれますね!ややこしい! なのですが、選んで服を着るのは大抵「ややこしい」ことのある時。出勤やデートや冠婚葬祭……
家にいるなら、ジャージでもパジャマでもいいのです!
いかがでしたでしょう。
どちらも間違いではない「シャツ」の名称。 明日のシャツ選びが少し楽しみになってきました!
皆様のお役にも、少しは立てていたら嬉しいです!
それにしてもいろいろなことを書かれてて面白いですね。
参考にしたいです!
コメントありがとうございます。
色々と書いております(笑
少しでも参考になってくだされば嬉しいです。
どもでした^^