小学校で英語教育?!
絶対反対だ!
ランドセル背負ってる(しょってる)子どもがオレより賢くなるなんて、許せん!!
── そういう次元の「反対」ではなくて……
2018年度からいよいよ義務化される小学校での英語教育。
これには「賛成」「反対」、どちらにも多くの声が挙げられています。
単純に、
「勉強することが増えて、小学生も大変だなぁ」
「でも、その分将来的に英語が話せるようになるんだったら、むしろラッキー?」
のように思えてもきますが(私には。単純だから)、「メリット・デメリット」をそれぞれ見ていきますと、
── そう呑気なことも言ってられないかも……
なぜ賛成なのか?
なぜ反対するのか?
今回は「小学校での英語教育」の「メリット・デメリット」についてのご紹介です。
デメリットを知っておけば、それを回避することが可能になります。
既にスタートすることが決定している「英語教育の義務化」。
できるだけメリット部分が活かせますよう、少しでもお役に立てれば幸いです。
「英語教育義務化完全実施」で、何が変わる?
2018年度から、小学校での英語教育が「義務化」する、ということで何かと盛り上がっていますが、「英語教育」自体はすでに2008年度からスタートしています。ただし「教科」ではなく「英語に親しむための時間」的な位置づけのもの。
「外国語活動」と呼ばれ、5年生から一週間に1コマの授業が行われていました。
英語で歌を歌ったり、ゲームをしたり、簡単なあいさつや自己紹介など、英語を使ってのコミュニケーションが中心。
ちょっと面白そうです。
2011年になると「必修化」となりますが、基本的に授業の内容はほとんど変わりません。
やはり「教科」というより遊びの延長として、とりあえず「英語に慣れてもらう」「親しんでもらう」が目的です。
そして2018年度。
「2020年の『英語化教育義務化完全実施』に向けて2018年度から新たな制度を導入する」
という文部科学省からの発表を受け、上記の英語教育のスタンスがゴソっと変わります。
これまでの「英語に親しむ」「英語を楽しむ」といった「外国語活動の必修」は3,4年生に譲られ、5,6年生では、もう少し本格的な「英語」が教科としてスタート。
コマ数こそ週に2コマと少ないものの「国語・算数・理科・社会」などと同様に、義務教育での教科となったのです。
遊びの時間はお終い! ということで、全国統一の教科書を使い、これまで「親しんできた英語」を「使える英語」にしていくため、授業内容も変化。
現行の「聞く・話す」の他、英語での「読み書き」もプラス。
中学校で習う内容の一部のような授業内容になります。
- 英語でのコミュニケーション中心の「外国語活動」
→「5.6年生」から「3.4年生」に前倒し - 「聞く・話す」「読み書き」など、教科としての「英語」
→「中学校」で習うものの一部が「5.6年生」に前倒し
ですね。
また、他にも「義務化」されたことで、いくつか変更される箇所があり、
- ネイティブの講師を招いて担当してもらうこともありだった「外国語活動」とは違い、「担任」の教師が担当することに
- テストも行い、成績がつく
生徒も先生も大変そう……
なのですが、そこはさておき、これが2018年4月からスタートする「小学校での英語教育の義務化」です。
2020年には東京でオリンピック・パラリンピックも開催され、ますます国際化も進んでいる昨今。
なるべく早いうちから英語習得に取り組んでもらおう、と始まった義務化ですが、
── 果たして、早期の英語教育はそれほど有効なのか?
まずは、こちらから見ていきましょう。
ネイティブ並みの発音を身につける! 早期英語教育は大事?!
英語の習得、特にネイティブ並みの発音を身につけるには、「早期英語教育は、非常に有効」
とされているのは本当です。
「オギャー」と叫ぶことしかできなかった赤ちゃんは、なぜ「ママ」「ブーブー」「ワンちゃん」「勝手に部屋入ってくんなよ!」などと話せるようになるのか?
人の脳がとてつもない速さで成長するのは「0~1歳」。
この時期を、
ご両親に話しかけられ、絵本を読んでもらい、流れてくるテレビの音が勝手に耳に入ってきたり、家族の誰かが近所のおばさんと玄関先で話しているのが聞こえてきたり……
意識する、しないにかかわらず、常に日本語が飛び交う環境で過ごすからです。
自然に覚えてしまうのですね。
そして、さらに多くの日本語に囲まれながらどんどんと言葉を吸収。
「言語習得」に関しては、特に3歳くらいまでが凄い。
耳から入ってきた言葉を、そのまま再現できてしまうほどの「真似っこ能力・レベルマックス」の時期となります。
つまり、この時期にネイティブな英語に触れる機会が多ければ多いほど、簡単にその発音を習得できてしまう、ということになるのです。
その後もマックス時に比べれば多少は劣るものの「言葉を覚えるのに効果的な期間」は続きます。
が、そうそう長くはない。
だいたい12~13歳が限界(9~10歳とする説も)といわれています。
この年齢を迎えるまでが「臨界期」と呼ばれる期間。
この時期を超えると、固定された音域の音のみしか聞き取ることができなくなってしまうのです。
(※ ただし、この「臨界期」の年齢に関しては、他の条件等も加味するべき、との意見もあり、あくまで仮説。)
ですので「ネイティブな発音を手に入れる」ために幼児期から英語スクールなどに通い、ネイティブな英語に触れる機会を作ってあげるのは非常に効果的。
英語独特の発音も簡単にマスターしてしまえるのです。
また、小さなお子さんは物おじしない、といいますか、楽しければ、どんどんと次に進もうとします。
年齢が上がってくると、ここが少しこじれてくるのです。
人前で失敗したくない、恥ずかしい思いをしたくない、という感覚が芽生え始める。
この感覚自体はあっていいものなのですが母国語ではない「語学習得」ではネックになってきます。
「間違えて恥ずかしい思いをするなら、初めからやらない・話さない」
こうなってしまうと、英語の習得にも支障が出てきます。
さらには、やたらといい発音(ネイティブな発音)に対しても「なんかカッコつけてるみたいで恥ずかしい……」。
── もう……
小学校3.4年生に英語でのコミュニケーションを中心とした授業を前倒しにしてまで組み込ませたのは、ですので理に適ってはいるのです。
ですが、この「理」は、あくまで「ネイティブな発音を習得」するためのもの。
総合的に見ると「デメリット」となる部分も出てくるのですね。
しかも「小学生」は「幼児」ではありません。
早期英語教育、というにはちょっと遅い。
ですが、それでも「小学校の英語教育」について賛成の方は数多く、そもそも政府が導入を決定した制度なのです。
まずはその「メリット」として賛成意見を集めている部分から見ていってみましょう。
小学校での英語教育に賛成!! メリットは?
「これからの時代、英語は絶対に必要だ(これまでの中学からの学習だけでは役に立たない)!」「実際に、英語が話せたことで仕事の役に立っている」
「何とか英語さえ話せれば、どの国に行っても大抵の場面は切り抜けられる」
「将来、海外留学させたいのよ。で、国際的な仕事についてほしいの……」
などなど。
これは確かにその通りです。
英語、強し。
海外から観光に来る外国の方も増えています。
道を聞かれても、英語さえ話せれば「ヤバい! 話しかけられないようにあっちの道から行こう」といった切ない回避方法をとらなくても済みそうです。
このようにまず挙げられるメリットは、
「コミュニケーション能力の向上」
「臨界期を超える前のためネイティブな発音の習得の効率がいい」
こちらは、2018年から必修化される「3.4年生での外国語活動」に対してのもの。
前述の通り、言語を習得するための効果的な時期は限られています。
小学校の3.4年生といえば「8~9歳」。
まだまだ「言葉を覚えるのに効果的な期間」にある年齢なのですね。
ですので、この時期に小学校での「外国語活動」を通して、楽しみながら英語に触れていくことは非常に意味があるのです。
英語を話すことへの抵抗もまだまだ少ない年齢。
とりあえず聞いて、話す。
とにかく「英語は楽しい」「もっと話したい」などと思いながらどんどん話すことで、自然と身につかせることが授業の狙いとなります。
そうすることで、5.6年生から始まる、教科としての「英語」に繋げていくわけです。
また、本来外国の方とのコミュニケーションがとれるようになることを目的とはしていますが、
「クラスが明るくなった」
「お友だちとのコミュニケーション能力もアップ」
といった効果も見られる傾向にあるようです。
英語の表現は日本語と違い、かなりはっきりしたもの。
曖昧な表現ではなく、ダイレクトに感情を伝える言葉が多いのです。
つまり、自己主張しやすい。
小さなお子様だからこそ「英語に親しむ」ことで、こうした変化がもたらされた、といえるのです。
これが、大人の方の通う普通の英会話教室などとの違い。
仲のいい主婦の方同士などでは、授業が終わった後、お茶くらいは飲むかもしれませんが、教室を出た瞬間に、あっという間に素に戻るかと思います。
「英会話」は上達するかもしれませんが(すると思います)、人間性といいますか、コミュニケーションの図り方までアメリカンナイズ、となるわけではないのですね。
だから小学3年生からの「外国語活動」。
これが一つ目のメリットです(2つありましたが)。
続いてのメリット、とされているのは、
「地域での格差がなくなる」
「中学校での英語がスムーズになる」
こちらは教科としての英語が義務化される「5.6年生」の学習について。
「外国語活動」は教科ではなかったため、教科書を使うか使わないかは、それぞれの学校の自由。
一応「教科書」的なものはあるのですが、使わない学校がほとんどです。
つまり、学校や教える先生によって、生徒さんの英語の習得率に違いが出てきてしまうのです。
先ほどチラリと書いたのですが、ネイティブの方を講師として招いている小学校もあれば、英語が得意な先生が担当することもあり。
英語が得意な先生には、申し訳ないのですが、「得意」と「ネイティブ」では大違いなのです。
また、教科書を使わない授業となることが多いため、何をするかも学校・担当の先生次第。
指導の仕方・方法により、生徒さんの学習レベルに差がついてしまいます。
そこで「統一された検定教科書」。
地域や学校による差が開きにくくなるのですね。
さらには、現在、中学に入って初めて教わることとなっている「読み書き」。
その土台のような学習がすでにこの時期になされていることになるため、中学での英語に戸惑いや躓きのないスムーズな移行も期待されているのです。
そして、従来の「中学校からの英語教育」ですね。
この評判が非常に悪い。
その酷評に対抗する続いてのメリットが、
「英語を学習する時間(期間)が増える」
私も含めてですが、中学・高校での英語の授業だけでは、まったく「英語」がものにならなかった、という方々は想像以上に多いのです。
もうほとんどの日本人がそう、といってもいいほど。
ですので、前述のように、
「はっ! 外国の人発見! よし、話しかけられないように、道、変えよう……」
という日本に住む日本人による、必要のない遠回りが増え続けているのです。
ついでに言えば、英語をある程度話せる人でも、
だって……、なんか、そういうのって恥ずかしいでしょ。
何となくカッコつけてるみたいで……
これも先ほど、出てきましたね。
しゃべることができるのに、関わろうとしない。
母国語以外を話すことに、照れくささや抵抗を感じる時期に英語を身につけたからです。
小学3年生から英語に自然に触れて育った方なら、この感情を克服するのは余裕。
日本語と英語の分け隔てが、それほどないのですね。
だから「3.4年生の外国語活動」からの「5.6年生での教科としての義務化」。
これが2つ目のメリットです。
そして、その後中学・高校での英語教育へと繋がり、最終的には、遠回りせずに外国の方と普通にコミュニケーションが図れる青年へ、と進化。
義務教育化されることで、平等に国際的な感覚と能力を身につけていくことができる。
これからの日本の社会・経済の発展にも繋がっていく、とされているのです。
── なら、それでいいじゃん。
もしかしてデメリットって「小学生に日本の明暗、委ねすぎ」とか?
……その考えは斬新……
デメリットに関して、そこに触れた意見はあまり聞きませんが、実際に英語教育が導入されることで、小学生の皆さんはどう思っているのでしょう……
うーん。
気になってきましたが、このことへの感じ方は、お子さんそれぞれなので、何とも言えないのかもしれません。
──「それぞれ」っていうんなら、うちの子を海外留学させる予定もないし、英語より、むしろ動物の言葉を理解できるような子に育って欲しいんだよなぁ。
うち、代々牧場経営だから……
!!!
確かに、そういうことなら「英語」の授業の代わりに「農学」やそれに必要な分野の学習に割り振ってほしい、というのもわかる気がします。
── いや、大学で、農学部とかにはいればいいんだけどね。
ただ、小学校でのその時間、ムダに思えるんだが……
……うーん。
「そうですよね」としか言えません……
これもデメリットのひとつ。
誰もが将来、英語が必要となる環境に身を置くとは限らない、ということです。
全く関わらない、ということは考えられませんので、そこまでムダとも思えませんが、その程度ならこれまで通り中学校からの教科であっても問題はなさそうですね。
では、続いてこれら「デメリット」について。
気をつければ、適切なフォロー可能なものもあります。
注意点・課題点、といった部分も含め、見ていってみましょう。
英語教育の義務化に反対!! デメリットはこちら!
前述の牧場経営のご家庭のように、英語にそれほど必要性を感じていない方にとっては、まさに時間のムダ。「英語を勉強するくらいなら、他の教科に力を入れて欲しい」
という意見も多いのです。
時間割に「英語」が入るということは、何かの授業が、代わりに削られる、ということになります。
全体の授業時間が増えるわけではないからです。
賛成派の方たちにとってはうれしいことでも、反対派の方々にしてみれば、代わりに他の教科の授業時間が減らされる、というデメリットになってしまうのですね。
そして「他の教科」の中でも特に、
「国語にしっかりと力を入れて欲しい」
ここも真っ二つに分かれるところとなっています。
今後ますます国際化する世の中に対し、
- 賛成派: そんな時代だから「英語」を早いうちから学ぶべき
- 反対派: そんな時代だからこそ「国語」をしっかりと学び、日本の文化や日本人としての意識を身につけておくべき
そう言われると、どちらも正しい気がします。
また、ここから少し発展して、
「まだ日本語の習得も十分とは言えない時期に、他の言語を学ぶのは混乱を招くだけ」
こちらの意見も多いのです。
そして、これは実際慎重に対処していかなければならないデメリット部分でもあるのですね。
例えば親御さんの転勤などで、海外の小学校に転校することになった、とします。
「幼児」と呼べる時期は過ぎていますが、まだまだ言語習得にムリのない年頃。
周りもみな英語(英語圏に転校、とします)を話すので、徐々にお子さんも言葉を覚えていきます。
そして数年後に、再び日本への帰国。
さて、このように小学校時代の何年かを海外で過ごしたお子さんはどうなるか、なのです。
絶対にそうなる、というわけではないのですが、どちらの言語も十分に使いこなせなくなってしまう場合があるのですね。
この時期に他の言語に触れずに育ったお子さんの場合、知っている言語は母国語である日本語のみ。
当然日本語でものを考え、日本語で話すことになります。
これ、当たり前のようですが、かなり大事なことなのです。
言語として日本語という言葉の基礎がしっかりと整えられている状態だからこそ、その言葉を使ってものを考えられる。
こうしたベースが作り上げられるのは、大体8歳~10歳の間、といわれています。
年齢的には小学生、ジャストミートです。
先ほどの海外に転校したお子さんの場合、日本語と外国語、ともに中途半端、となる可能性もある。
母国語がはっきりしていないのですね。
2つの言語を自由に使いこなせる人のことを「バイリンガル」といいますが、このように母国語が確立できておらず、どちらの言語でもうまく言いたいことを表現できなくなってしまうこと(人・状態)を、
「セミリンガル」または「ダブル・リミテッド」
と呼びます。
これと同じようなことが、小学校での英語教育により引き起こされるのでは? と危惧している方はかなり多いのです。
ですので、
「まずは、母国語である日本語の習得に力を入れてあげて!!」
となるのですね。
ですが一方では、脳も活発に働いている時期でもあるため、ダブル・リミテッドの状態には陥らず、むしろ脳へのいい刺激になるのでは?という期待も持たれています。
いずれにせよ、ここは文科省も「課題」としている部分。
ご家庭でも「英語」だけでなく、日本語はもちろん、他の科目も、バランスよく学習できるような環境を整えていくことが重要なポイントとなるかと思われます。
さて、もう少し「デメリット」は続きます。
「教師の抱えるデメリット」
ここも深刻。
先生はすでに大忙しなのです。
もう、社会問題とされているほどに忙しい。
授業や児童に係わることだけにとどまらず、研修や事務仕事などなど、やることが山積みなのですね。
そこにきてプラスで「英語」の授業。
先ほど書きました通り「教科」となる5.6年生の授業は担任が受け持つことになります。
小学校から英語教育を行っていくのは、早いうちに英語に触れることでの言語習得のメリットがあるから、なわけですが、先生は特別に英語が専門なわけではありません。
小学校の教員免許の取得に、専門的な英語の知識は必要ないのです。
教師となった後も、上記の通りの大忙しの状況で、ガッツリ英語を勉強している暇もない。
発音も……それほど……
相当の不安を抱えている先生も少なくありません。
同様に保護者の中には、
「小学校の英語教育レベルでは、児童の英語力向上にはつながらないのでは?」
と考える方も多い。
だから「反対」となるのですね。
そして最後に、
「習得には本人の意欲次第」
これはメリットでもありデメリットでもあるのですが、個人的には、もう、これに尽きるような気がします。
どれだけ学校側が頑張っても、文科省が今後様々な改善案を出しても、勉強したくない子は、しません。
逆に、学校以外のスクールなどで英語の学習をしているお子さんにとっては、授業が退屈。
同じスタートを切っても、その差は歴然としてきます。
そして「英語なんて面白くない。しかも全然わかんない」というお子さんは「英語に対しての苦手意識」を早い段階から持つことになってしまう。
思いっきり逆効果です。
伸びるお子さんは伸びる。
苦手、と感じてしまったお子さんは小学生の頃から「英語」を嫌いな教科として認識。
ですがこれは英語に限ったことではないのです。
「英語教育の義務化・必修化」は大きな変化ではありますが、変に構えず「国語・算数・理科・社会」など、いくつもある教科のうちのひとつ、と思うことが一番大事なことかもしれません。
再び失礼なことを言ってしまい本当に申し訳ないのですが、実際、小学校の英語教育で「セミリンガル」「ダブル・リミテッド」となるほどの高度な授業が行われるとは考えにくいです(少なくとも、指導要項なども含めた大幅な見直しがなされない限りは)。
ただ、小学校の教師の方々は、それでもかなり大変になるかと思います。
最大のデメリットは「教師の抱える負担と不安」なのかもしれません。
小学校の英語教育「メリット・デメリット」をまとめる!
さてさて、ではここでもう一度おさらいです。「メリット・デメリット」をまとめていきましょう。
2018年4月からスタートするのは?
- 小学3.4年生:「外国語活動」の必修化
→ 現行のカリキュラムでは「5.6年生の必修」だったもの - 5.6年生: 教科としての「英語」の義務化
→ 「話す・聞く」のコミュニケーション重視のものから「読む・書く」重視に。テストあり。成績もつきます
➡ どちらも2020年の「英語教育義務化完全実施」に向けスタートしたものです
メリット
- コミュニケーション能力の向上
- 言語習得を効率よくこなせる時期であることを利用し、ネイティブな発音を獲得
- 記憶力にも優れている時期のため、英語をスムーズに覚えることができる(中高生と比べ)
- 統一の検定教科書を使って授業が行われるため、地域による学習レベルの違いを解消できる
- 中学校での英語に繋げることができる
- 英語の学習期間が増える(中学からはじめたのでは習得が難しいとされていた英語教育への解決策に)
デメリット
- 誰もが将来英語が必要となるわけではない
- 仮に必要だとしても、中学からの英語教育で十分(この場合には「英語の時間がムダ」)
- 英語以外の教科に充てる時間が減る
- 日本語教育が疎かになる(結果、どちらも中途半端にしか使いこなせなくなるのでは?)
- 教師の抱える不安や負担が深刻
- 小学校の英語教育では「英語力」は育たないのでは、との懸念
- 最終的には本人のやる気にかかってくるため、習得には個人差が出てしまう
ご家庭での負担も多少増えるかと思います。
お子さんと一緒に、保護者の方も英語を楽しみながらフォローしていってあげてください。
「理科の、ここ教えて~」と「この英単語って、どういう意味?」は同じレベルの質問です。
「英語」だけを特別扱いせず、他の教科とのバランスを取ることも大事です。
終わりに……
今や小学校では「ダンス」の授業が必修化していたり、パソコンの使い方、情報モラルなどについても教えているのですね。凄いです。
時代に合わせた授業内容・学習内容の変化は必要。
「英語」が義務化されるのは、ある意味必然のような気もします。
現在デメリットとされている部分も、いずれ検討・改善が重ねられ、より良いカリキュラムとして生まれ変わるはずです。
小学生の皆さんが「英語って楽しい!」と思えることが一番。
楽しみながら勉強したことは、大抵ちゃんと身につくのです。
さてさて、いかがでしたでしょう。
個人的には、今回のオリンピック(平昌)でも大活躍していた「同時通訳機」などの分野がますます進化していってくれると、何かと楽な気がしているのですが ── 英語も大事です。
英語を使いこなすためには母国語である日本も大事。
ついでに言えば、言葉が通じないペットなどとも意思の疎通は可能。
人は案外器用なのですね。
小学校の英語教育には、色々な課題点もありますが、その分メリットとされる部分も多くあります。
スタートから間もないため(※ 2018年4月現在)、はっきりした結論は出しようがないのですが、小学生の皆さんのニコニコと、皆さまのモヤモヤ解消に、少しでも役立てていたらうれしいです。
今回も長文に最後までおつき合いいただき、本当にありがとうございました。