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「認定こども園」って結局何なの?

保育園?

幼稚園?



── えっと……「認定こども」園です……


幼稚園

設立されたのは2006年。

「幼稚園」と「保育園」の役割をどちらも兼ね備えた新しいスタイルの保育・教育施設。

さらには地域の皆さまの子育てにも貢献しよう、という非常に画期的な試みだったにも関わらず、案外鳴かず飛ばずのまま、待機児童は増え続け……


2015年に「子ども・子育て支援新制度」として生まれ変わり、最近少しずつ注目を集め始めてきています。


待機児童の問題は深刻。

お子さんを保育園に預けられなければ、「共働き」の選択肢がなくなってしまいます。

また、ご家族に介護が必要な方がいる場合、もしくは出産を控えている、保護者の方自身がご病気等でご家庭での保育が難しい場合などでも保育園は強い味方。


……が、強い味方すぎて、常に定員オーバーの状態なのです。


一方、少子化の進む現在、幼稚園の方では定員割れを起こしているところも少なくありません。


バランスが……悪い……


そこで、


── 本来認可幼稚園として機能している施設に、さらに「保育園」的機能も付け加えて待機児童を迎え入れたら、それって解決しちゃったりしない?


ということで、二つの機能の融合した施設「認定こども園」の誕生、となったのですね。

(※ 後述しますが、このタイプが「幼稚園型認定こども園」と呼ばれるものです)


……理にはかなっています。


こうした認定こども園のテーマ・コンセプトのようなものには多くの魅力あるメリットを感じるのですが、実際の利用にはいくつかの(いくつもの)デメリットもついてきます。


ですがせっかく登場した新しい教育施設。

気持ちよく利用するためにも、利用を思いとどまるためにも、ここで一旦「認定こども園」のあれこれについて、簡単に押さえておいてしまいましょう。


今回調べた結果「なるほど、こういう施設だからこうなるのね」などなどわかったことも含め、


「認定こども園のメリット・デメリット」について紹介いたします。

皆さまとお子さまが、楽しく毎日の園生活を満喫できますよう、少しでもそのお手伝いとなれましたら幸いです。



「認定こども園」ってどんなところ?

前述の通り「保育園」と「幼稚園」の機能を両方兼ね揃えた施設が「認定こども園」。


一般的に保育園では、お子さまを預かってくれるのは「午前7時半から午後5時」まで。

さらに延長も可能。

対象となるお子さまの年齢は0歳から就学前(5歳)までです。


先ほど挙げました様々な理由により、ご家庭での保育が難しい場合でも「保育士」の資格を持った保育士さんが代わりに保育を引き受けてくれることになります。

お母さまも(お父さまも)安心してお仕事等に励むことができる。


一方の「幼稚園」では通常「午前9時から午後2時」まで。

対象年齢は3歳から就学前のお子さま。

どうしても外せない用事がある場合には「一時預かり」として、延長もありです(オプションとなるので別途料金は発生します)。


どちらも「3歳から就学前」の年齢は被っているのですね。


が、保育園と幼稚園で決定的に違うのは、この同年齢のお子さまたちが、それぞれの園で何をしているか、というところです。


保育園は「厚生労働省」が担当する施設。

児童福祉法に基づいた「児童福祉施設」になります。


その目的は、日中お仕事等で保育をすることができないご家庭のお子さまを預かり、代わりの「保育」をしてくれること。


他方「幼稚園」を担当しているのは「文部科学省」

こちらは「教育機関」の一つです。


幼稚園の方針によっても様々なのですが、マナー教育に力を入れているところもあれば、英語教育に力を入れているところもあったりします。

いずれにせよ「教育の時間」的過ごし方をしています。
(※ 教育課程に充てる教育時間は一日4時間を標準とする、と決められています)


預かってくれる時間が短いのも、その時間にお迎えが可能なご家庭のお子さまが通うからです。

つまり、専業主婦家庭が多いことになります(フルタイムではなく、お迎えの時間に合わせられるお仕事をされている方ももちろんいます)。


では「認定こども園(以下「こども園」)」には、どのようなお子さまが通ってくるのか。


「こども園」を担当しているのは「内閣府」。

厚労省も文科省も内閣府の一員。


つまり、両方が管轄している施設ということになります。


よって、


  • 受け入れ時間: 午前7時半から午後5時まで(延長可能)

    → ただし「午前9時から午後2時まで」の「幼稚園」としての時間のみの利用も可

  • 受け入れ対象年齢: 0歳から就学前まで

    → ただし「0歳から2歳」までの間を保育園としてだけ利用、または「三歳」からの利用も可

受け入れ時間と受け入れ対象年齢は「保育園」を基準としていますが(そちらの方が長いから)、それに縛られることなく「幼稚園」として利用もできる。

そして、保育園同等の受け入れ時間の中で「保育」だけではなく「幼稚園的教育」も受けられる。


こども園の掲げているコンセプトの一つは、


「親の就労の有無にかかわらず利用できる」


です。


── なのですが、これらの時間を好き勝手に決められるわけではなく、利用パターンは3つの区分で分けられることとなります。


  • 満三歳以上のお子さまで、園を「幼稚園」としてのみ利用(教育のみを希望): 1号認定(教育標準時間認定)
  • 満三歳以上のお子さまで、園を「保育園」「幼稚園」としてどちらも利用(教育と保育をともに希望): 2号認定(保育認定)
  • 満三歳未満のお子さまで、園を「保育園」としてのみ利用(保育のみ希望): 3号認定(保育認定)

もうちょっと、わかりやすく書いてほしい……


少しだけ整理していきましょう。


まずは「3号認定」を受けたお子さま。

お子さまというより「乳児」ですね。0歳から2歳。


もう、これはただの保育園と変わりません。

たまたま通うところが「こども園」だった、というだけで、幼稚園的機能を享受できるというメリットは特になしです。


そして「三歳以上」のお子さま。

こちらは2タイプに分かれることになります。


「1号認定」を受け通うお子さまは、


  • 「幼稚園」部の始まる9時に登園

    → 教育の時間を過ごし、2時以降にお迎えが来たらそのまま帰宅

「幼稚園」に通うのと同じですね。

既存の幼稚園がこども園に移行する、などの場合、すでに通っていたお子さまについては、


「引き続き入園のできる受け入れ枠を適切に設定するように」


とされていますので、こちらのパターンになることも多いかと思います。


一方「2号認定」を受けたお子さまは、


  • 「保育園」部開始の7時半に登園

    →「幼稚園」としての教育の時間が始まるまで「保育」の時間を過ごす

    → 教育の時間スタート

    → 教育の時間終了後は、お迎えが来るまで再び「保育」の時間を過ごす

「保育園」プラス「幼稚園機能」ゲット。

1号・2号認定のお子さまは、この「教育の時間」を一緒に時間を過ごすことになります。


ただし、「2号・3号認定」には保育園ほど厳しいものではありませんが、審査には通る必要があるのですね。

つまり、


「親の就労の有無にかかわらず」


というのは、


  • 親の就労「あり」: 保育認定である「2号・3号認定」とされたお子さま
  • 親の就労「なし」: 教育標準認定である「1号認定」を受けたお子さまのこと

確かに同じ園内に保護者の方の就労「有・無」家庭のお子さまが混在してはいるのですが、


「働いてないし、家での保育ができないわけでもないのだけど『保育園』としての時間帯をフルで利用したい」


というのはかなり難しいです。


2号・3号認定を受けるには、


  • 就労(共働き)
  • 出産・妊娠
  • 保護者の方自身が病気療養中、もしくは障害をお持ちである
  • ご家庭内に介護等を必要とする方がいる
  • 求職活動・就学中

など、「保育を必要とする事由」と呼ばれる「ご家庭での保育ができない」理由が認められる必要があります。


そして優先されるのは、より保育のできない状況にあるご家庭のお子さま。

園に空きが十分すぎるほどある場合などには、案外すんなり上記のような希望が通る場合もありますが、待機児童が社会問題となっている現在「園に十分すぎる空き」がある、というのはほとんど奇跡に近い。


また会社を辞めた、もしくは就職したなど、ご家庭での保育を巡る状況が変わった場合には、これら認定区分も変更となり、預かり時間なども変わってきます。

園によっては、在園が厳しいこともありますので、こうした際の園側の方針も一度ご確認いただければと思います。


特に3号認定の赤ちゃんの場合では、ご家庭での保育が可能な環境に変化、などで退園とされることも多いようです。

今後の変化等が予想できる場合には、慎重に入園をご検討ください。


さて、こうして認定を受け入園、となるわけですが、


  • 幼保連携型認定こども園
  • 「幼稚園」型認定こども園
  • 「保育所」型認定こども園
  • 地方裁量型認定こども園

こども園の種類は上記4つに分かれています。

みな同様に「こども園」ではあるのですが、どのタイプの施設であるかにより、結構な違いが出てきてしまうのですね。

順にみていきましょう。


    幼保連携型認定こども園

    こちらは学校であり児童福祉施設でもある位置づけ。

    幼稚園と保育園の機能、どちらも備えた一つの施設として設置されるものです。
    (※ 同じ自治体にある認可保育園と認可幼稚園が連携して一つのこども園になったタイプ)


    「保育教諭」という幼稚園教諭の免許と保育士の資格をどちらも持っている先生が、お子さまたちの保育と教育を担当。

    (新制度施行後、5年間は保育教諭を設置するための猶予期間とされていますので、2018年現在では、実際にはまだ上記の資格・免許併用して持つ先生がいない可能性もあり)


    どちらの役割も同様に備え持っているため、保育園としての11時間の開園時間、土曜日の開園等の原則も守られます。
    (※ 厳密には、従来の保育園では11時間以上の開園。開設日数は300日以上とされています)


    「幼保連携型」は幼稚園・保育園どちらかへの機能的な偏りはなく、現在最も注目を浴びているこども園のタイプとなっています。


    幼稚園型認定こども園

    先ほどチラリと出てきましたが、こちらはもともとは認可幼稚園。

    保育を必要とするお子さまも受け入れられるよう、保育士さんを迎え入れたり、保育時間の延長等により「保育園」的機能も備え、こども園としてリスタートです。

    本来は「幼稚園」ですので、位置づけ的には「学校」。

    幼稚園に「保育園的機能」もついている、といった感じですね。

    「幼稚園教育要領」に基づいた内容の教育・保育が行われることとなります。

    保育園運営の原則とされる11時間の開園時間、土曜日の開園につきましては、幼稚園型の場合、


    「地域の実情に応じて設定」


    です。

    3歳未満のお子さまには「保育士」の資格を持った先生が担当することが条件づけられていますが、3歳以上のお子さまに関しましては


    「幼保連携型同様に保育士・幼稚園教諭、どちらの資格・免許も併せ持った先生が望ましい」


    とされているものの、あくまで「望ましい」止まり。


    「が、いずれかでも可」


    と続いています。


    保育の時間・幼稚園での教育の時間ともにありますが、「幼稚園型」はその名の通り、より幼稚園に近いこども園です。


    保育所型認定こども園

    幼稚園型の逆バージョンですね。

    もともとは認可保育園だった施設が、保育を必要としていないお子さまも受け入れるべく、こども園として新たに運営スタートのパターン。

    ですので、施設としては「児童福祉施設」としての位置づけになります。

    そして幼稚園型とは反対に保育所(園)プラス幼稚園的機能付き、といった形での運営です。

    保育所保育指針に基づいた保育・教育が前提。


    先生に関しましては幼稚園型と同じ。

    どちらの資格も持っているに越したことはないのですが、実際にはどちらか一つでも可、です。

    その代わりに11時間開園、土曜日の開園の原則は守られることに。


    また3歳以上のお子さまであっても「保育の時間」を担当する先生には保育士の資格が必須となります。

    保育所型は、「保育園」としての機能中心であることの多いこども園となります。


    地方裁量型認定こども園

    このタイプのみ、若干話が変わってきます。

    他のこども園では「もと」になる保育園・幼稚園はどれも「認可」された施設でしたが、地方裁量型でこども園となるのはこれまで「認可外」だった保育・教育施設(認可外保育園・幼稚園)。


    ただし、認可外保育園等がそのままこども園を名乗れるようになるわけではなく、国が定めた基準をクリアしているか、について、都道府県等に認められた場合のみ「認定こども園」としてのスタートを切ることができる仕組みになっています。


    先生の配置などの条件も「幼稚園型・保育園型」と変わりはありません。

    開園時間や、開園曜日は「地域の実情に応じて設定」となります。


    「認可外」だった施設、と聞きますと「……」な気分になるかもしれませんが、認可外だったのは「こども園」として認定される以前の話です。

    認可外の保育・教育施設が減り、認定されたこども園としてリニューアルするのは、実はむしろいいこと。


    保育園の審査に通ることができず、「認可外保育園」に行くか「地方裁量型こども園」に行くか……


    全ての認可外施設が劣悪な環境とは全く思っていませんが、少なくとも国からの認定を受けている施設が新たな選択肢に加わったことは、非常にありがたいことだと(個人的には)思っています。

ご家庭での保育が可能か否かの状況によりお子さまへの認定区分が3つに分かれ、さらに、こども園自体のタイプも4種類ある。


案外複雑なのですね……


ですが、そのほかのメリットとして、


  • 入園していないお子さまでも「一時預かり」を利用できる
  • 地域にお住いの方なら、お子さまの入園の有無にかかわらずどなたでも子育て相談を受けることができる(子育て支援を行っている)

なども挙げられます。
ここは良いですね。太っ腹です。


では、これらシステム的なメリット・デメリットではない、実際にお子さまがこども園に通っている方の感じている「メリット・デメリット」はどのようになっているのか。


続いて「ナマの声」的メリット・デメリットについて見ていきましょう。




「保育園」と比べてのメリット・デメリットは?

共働きのご家庭等、「こども園」以外の選択肢が「保育園」であった場合のメリット・デメリットはこちら。


    メリット

  • 「保育」だけではなく「教育」まで受けることができる
  • 専業主婦家庭のお子さま・お母さまなど、交流の幅が広がる
  • 行事やイベントが充実している

  • デメリット

  • 「幼稚園」の時間が終わると帰ってしまうお友だちもいるため、待っている子どもに寂しい思いをさせてしまう

  • 長期休暇などの間も、専業主婦家庭のお子さんは登園しないことが多いため、いつものお友だちのが来ていない園での一日も、やはり寂しそうだ

    → といった事情なので、そもそも登園・降園時間が異なる専業主婦家庭のママと、普段はなかなか会うことができない

  • 充実している行事やイベントが多いのは事実だが、仕事があるため、参加できないことが多い

    → 不参加に加え、行事の準備や役員なども働いていないママグループにお任せすることが多くなり、何となく溝ができ始める

    → 溝を埋めるためにも有効な交流会などが開催されているようだが、同様の理由でそこへの参加すらムリ

  • 保育園と同じく保育料は親の収入により決められるが、「入園手数料」「施設整備費」等が入園時にかかる他、月々の負担も増え、保育園と比べかなり高額の保育料となることが多い

    → 0歳から2歳までは私服でOKですが、3歳から5歳のお子さまには「制服」「体操着」「スモック」「帽子(通園用)」など、国指定のものを揃える必要もあります



「幼稚園」と比べてのメリット・デメリット

    メリット

  • 幼稚園では通常3歳から5歳までを「年小・年中・年長」さんの3クラスに分け、それぞれバラバラに時間を過ごすが、保育の時間には(保育参加のお子さまの場合)異なる年齢のお子さんとも関わることができる

    → 年下のお子さんに優しくする、年上のお子さんのいうことを聞く、憧れて真似をしてみる、など異なる年齢のお子さまとの関りは幼稚園では味わえないものです

  • 専業主婦家庭のお子さまだけでなく、色々な環境で育ったお子さまともお友達になれる

    → 幼稚園はその園ならではの特徴的な教育方針を打ち立ており、入園を決める際には、そこも考慮されることも多いため、全体的に皆さまいろんな面で似通っている傾向にあるようです(良い・悪いというお話ではなく)。
    こども園の保育部に通うお子さまとの出会いは、お子さまにいいで意味カルチャーショックを与えてくれるかも


  • デメリット

    もともと幼稚園だった施設がこども園になる際、通園しているお子さまのいるママさんサイドが猛反対するケースは非常に多いです。


    公定価格問題


    保護者の方が自己負担する保育料等の金額のことですね。

    こども園では、


    「世帯収入が多いご家庭からは保育料も高額に。少なければ低額に」


    といった上記の「公定価格」という仕組みを採用しています。

    これは、通常の認可保育園の場合と同じ。

    (※ 幼稚園では、園ごとにその金額には若干の違いはありますが、収入に関係なく金額は一律であることが一般的です)


    専業主婦家庭の皆さま(1号認定のお子さま)の負担額も、共働き等のご家庭の皆さま(2号認定のお子さま)の負担額にも、それほどの差はないのですが、あるのは「施設の利用時間」の違いです。


    前述の通り「1号認定」を受け幼稚園として機能している時間帯のみをこども園で過ごすお子さまの「施設利用時間」は9時から午後2時(少なくとも3時までにはお迎えが来ることがほとんど)。

    他方、幼稚園として教育の時間、保育園の保育の時間ともにフルで利用できる「2号認定」を受けたお子さまは7時半から午後5時までが基本。


    ── 自己負担額には、それほどの違いなし……でも利用時間の差は2倍近く……


    しかも、幼稚園だったころに比べても先ほど挙げました諸々の費用により、こども園での保育料は割高になってしまうことが多いのです。

    補助金や助成金もこども園に移行すれば、なくなってしまう。

    同じ園に通っているはずなのに、「保育」も希望の「2号認定」のお子さまと同じ時間まで預かってほしいときなどは「別途料金発生」です。


    給食の出る回数も違ってきます。


    園によりますが、週5で給食の出る2号認定のお子さまに対し、1号認定を受けているお子さまの場合は週数回(2,3回というのが主流のようです)。

    それ以外の日にはお弁当持参。
    (※ 実際に定められているのは「2号・3号認定」を受けたお子さまについての園内で作る食事提供義務だけ。3歳以上のお子さまには園内ではなく外部から搬入のものでも可、とされています)


    幼稚園に通っているのであれば(といいますか以前は幼稚園だったので)、毎日お弁当ということがほとんどかと思います。


    ですので給食が数回でも出るようになって良かった、とすることもできるのですが、週5で給食、という比べる対象のお子さまができてしまう……

    一時間当たりの保育(利用)料の単価に2倍近くの差があり、にもかかわらず給食の回数は少ない。


    ── 何となく、ものすごく損している気がする……

    だから今までの幼稚園がこども園になってしまうのには反対。


    「メリット」で挙げたようないい部分もないことはないのですが、お子さまサイドというより保護者様サイドとしては「なんだかなぁ」なデメリット部分にかなり不満を持たれることも、自然な流れのような気がします。



幼稚園
そして、これら「損している気が……」な、こども園の抱えるシステム的なデメリットに加え、「保育園的機能」重視のご家庭のお母さま方との時間的なすれ違いなども手伝い、


  • なのに、どうして行事とかイベントとかの用意だの役員だの、私たち「幼稚園」組にばっかり押し付けるわけ?

    → お仕事があるため、どうにもならないのですが、費用面などでも優遇されている「保育希望(特に2号認定を受けているお子さま……というかそのご家族)」に理不尽な思いを抱かれる方も多いです

  • (幼稚園がこども園に移行した場合には特に顕著に)この方針なら子どもを預けられると思って決めた幼稚園に、保育園に入れなかったからっていう「駆け込み寺」的な感覚で入ってこられても……

    → う~ん。厳しいご意見ですが、結構多いご意見でもあります

そして事実、入園の際の選考には「1号認定」と「2号・3号認定」では、基準がかなり違うのです。


  • 1号認定の選考: 園が行う

    → 抽選や先着順等、公式な方法を園が選考基準として、保護者に伝えたうえで行われます

  • 2号・3号認定: 市町村が調整を行う

    → 家族の状況など、諸事情を考慮し、保育の必要性の高いお子さまが優先的に利用できるよう、その調整を行います

保育園は定員オーバー。
幼稚園では定員割れも多い。


そういったわけで、このような違いも出てくるのですね。


そもそもの始まりは「待機児童問題の解消」、そしてご家庭の抱える悩みを子育て支援により解消させることを期待されての設立です。


保育園の審査に受からなかった場合、選択肢は「認可外保育園」か「こども園」。

もしくは会社を辞める、など。

そう考えますとメリットはわかりやすいのです。


が、逆に通っていた「幼稚園」が「こども園」に移行した、もしくは「幼稚園」の代わりに「こども園」に通わざるを得なくなった、などの場合には、イラっとする場面にも遭遇してしまうかもしれません。

それを感じ取れば、保育園部のお母さまもお子さまも、何となく後ろめたい気分になってしまいます。


結果「幼稚園派」と「保育園派」の関係はギクシャクしたものに……


実際には「こども園」すべてでこうした軋轢的なものが生まれてしまうわけではありません。

園によっても様々ですし、お子さまやお母さまとの相性もあります。

「入園してよかった」という声も多数あるのです。


ですが、不満の声も同様に多い。


制度の掲げるコンセプトは画期的で魅力あふれる解決策のように思えます。

が、関わる人の感情についてへの配慮が、ちょっと足りないんじゃないかなぁ、というのが「認定こども園」「子ども・子育て支援新制度」への(超)個人的な感想です。




認定こども園の「メリット・デメリット」をまとめる!

個人的な感想を勝手に書いてしまいましたが……


では、最後にこども園のシステム的な「メリット・デメリット」と、そこへの不満からくる、実際に感じる「デメリット」について、まとめていきましょう。


    認定こども園の「メリット」は?

  • 待機児童がこども園に通うことにより減る
  • 「保育」と「教育」のどちらも受けることができる
  • 通園していないお子さまも「一時預かり」を利用できる
  • 地域にお住いの方なら、どなたでも「子育て相談」を受けることができる
  • 年齢の異なるお子さまが同じグループやクラスを作って保育をする「縦割り保育」を行っている園も多く、年下・年上のお子さまと接することができる
  • 共働き家庭・専業主婦家庭、どちらの環境で育ったお子さまとも友達になれる
  • 季節ごとの行事やイベントなどが(保育園に比べ)増える


  • デメリット

  • 「幼稚園」としてのみ通うお子さまと「保育園」としても利用しているお子さまとの帰宅時間に差が出てしまう
  • 給食の出る回数など、1号認定のお子さまと2号認定のお子さまでは、同じ施設にいながら、いくつもの違いがある
  • 「保育園」では必要なかった幼稚園に通うためのグッズへの出費
  • 従来の「幼稚園」「保育園」と比べても保育料が高くなることがほとんど
  • 通常の幼稚園(認可「外」保育園も)では保育料の助成制度のある自治体もあるが、こども園に移行した場合には、助成金が出なくなってしまう
  • 認定区分により決められた自己負担額にはそれほどの差はないものの、利用時間あたりの単価では明らかに「1号認定」を受けたお子さまの方が高額を納めることに

  • ➡ 気持ちの問題ではなく、制度的な問題としても「保育園派」「幼稚園派」にはかなりの隔たりができてしまいます


    制度による違いが引き起こす、実際に感じる「デメリット」は?

  • 降園時間の違いにより、遅くまで残るお子さまに寂しい思いをさせてしまう(長期休暇の際にも、専業主婦家庭のお子さまは登園しないことが多いため、人数の減ったクラスで、やはり寂しい思いを……)
  • 同じ理由により、送り迎えの際に「幼稚園」「保育園」に通わせるお母さま同士が会うことも稀
  • 給食の出る回数などが違うため「どうしてボクと○○ちゃんだけお弁当なの(ほかのコは給食なのに)?」という疑問と軽い疎外感を感じることも
  • 時間的な余裕も就労の有無により違うため、集まりなどでも「保育園部」のお母さまはゆっくりとその後の交流に時間を割くことができない
  • そういった状況なので、せっかく増えた行事やイベントにもなかなか参加することが難しい
  • さらには、行事のための準備や役員選びなどでは「幼稚園部」に通うお子さまを持つ専業主婦層のお母さまが、その負担を引き受けざるを得ない場合が多い

  • ➡ にもかかわらず、先ほどの制度的なデメリット「保育園部」に通っているお子さんの保育料の方が、圧倒的に時間当たりの単価が低くなる……

また、何かの用事で「一時預かり」を利用する場合には(1号認定のお子さま)、オプションとなるため別途料金が発生してしまいます。

これは通常の幼稚園でも同じなのですが「2号認定」のお子さまであれば、初めからその時間までプラスの料金なしに保育をしてもらえる。


これは「保育園」と「幼稚園」のシステムの違いですので、そういうものなのですが、やはり目の前に比べる対象がいるというのは……ギクシャクしてしまうことも多いのです。




終わりに……

「認定こども園」、惜しい。
詰めが甘い……


こども園の保育料・利用料を決めているのは各自治体です。

従来の幼稚園・保育園に比べこども園の方が保育料が高くなってしまう、というのは、プラスでもう一つの園の機能を備えるための設備や人件費等もかかるため仕方のないデメリットかと思います。


そんなのいらないから「保育」だけ、ちゃんとしてくれればいいのよ……


そうなるともう、「保育園」ですね。
でも、待機児童問題……

だから「こども園」の選択。


よほどそのこども園の掲げる理念に共感した、などの理由がない限り、幼稚園派の方たちの支持を受けることはまだまだできそうもありません。

「幼稚園」ではなくあえて「こども園」に通わせたい! と思えるような魅力はそれほどなさそうです。


なのに通っている幼稚園がこども園にリニューアルされる、というパターンはイヤでも何でも起こり得る……


う~ん。

社会問題化し、ついには「死ね」とまで言われた「日本」が、名誉挽回を図り「待機児童問題」に糸口を! と推し進めてきた制度ですが、視点の幅が激せまです。

待機児童の問題は解決できたとしても(現段階ではこども園をもってしても全然受け口としては足りていません)、他の新たな問題の火種となってしまっては意味がない……


今回「認定こども園のメリット・デメリット」を調べてみて分かったことは、


「発想やコンセプト等、制度としては非常にユニークかつ優秀」(偉そうに言ってますが……)


ですが、どうしても机上の空論的な「制度ありき」の部分をデメリットの元凶のように感じてしまいます。

メリットがたくさんあっても、デメリットを解消できなければ、最終的に勝ってしまうのは「デメリット」の方です。


利用する方々が制度から受け取れるメリットよりも、実際に肌で感じるデメリットを何とかしてくれれば、もう少し自信をもって「認定こども園、いいですよ! 選択肢の一つにどうぞ!!」を結論として書けたのになぁ、と、またまた勝手に思っております……


さてさて、今回はあくまで私自身が調べて感じたこと、という観点から書かせていただきましたが、前述の通り「入園させて良かった~」というご意見もたくさんあります。

園それぞれで、メリット・デメリットも変わってくるはずです。

が、こうした「デメリット」部分も結構な割合で存在している。


長々と書いた後に恐縮ですが、


「メリット、了解。遭遇するかもしれないデメリットも一応気に留めておく!」


な感じで、参考程度にお役立ていただければ嬉しいです。



今回も、最後までおつき合いいただき、本当にありがとうございました。

皆さまとお子さまの園ライフが、毎日ニコニコでありますよう、併せて願っております!!


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