新築マンションもいつかは中古になる。
……なら、初めから中古マンション選択でいっか……
新築がいつか中古になるのはその通り。
ですが「新築ならでは」また「中古ならでは」の特徴もたくさんあります。
そこを「良い面」と捉えるか「悪い面」と捉えるかによって、
「やっぱり新築派」
「そういうことなら断然中古派」
になるかは変わってくるはず。
-
物件を探しやすいのはどっち?
税金の優遇措置はどちらでも受けられる?
何を基準に選べばいいの?
何かあったとき、安心なのは?
などなど、
新築・中古マンションの比較を含め それぞれの「メリット・デメリット」を紹介いたします。
皆さまが素敵なマンションライフを送れますよう、少しでもそのお手伝いとなれましたら幸いです。
新築と中古、一番の違いは?
- マンションが建つ → 購入 → 入居 → 新築
- 新築に住んでいた人が、その物件を売りに出す → 購入 → 入居 → 中古
……ものすごく当たり前のことを書いているような気がしてきましたが、ここがまずは一番の違い。
例えば「1000万円」で新築マンションを購入したとします(仮に、です。キリがいいので)。
厳密には少し違うのですが、この1000万円が、新築当初のマンションの資産価値です。
建物の構造や設備、システムなども、その時代の最先端のものを採用。
ですが10年も経てば、さらに新しいものが誕生してきます。
大幅にではなく少しずつですが、それでも時代遅れにはなっていくのですね。
マンションの資産価値もそれに合わせて減少してきます。
それこそ10年以上の築年数があるマンションであれば、地域によっては半額まで下がることも。
そして、転勤など入居者の都合により売却。
これが「中古マンション」です。
ですので、物件価格も中古マンションは割安。
その代わり、設備等も「かつて最新鋭だった」、現在では少し古いもの、になります。
(;゚Д゚) それでは「新築」一択ではないか!?
確かにイメージ通り、
「新築はきれいで設備なども新しい。でもその分高い」
「中古物件は新築に比べ割安。でもその分設備は古く、内装等の劣化も見られる」
の部分はあるのですが、これだけで「新築一択」もしくは「資金の都合により泣く泣く中古を選択」とするのはもったいない。
( ̄▽ ̄) 資金はタンマリあるのだ。でもあえての中古物件狙いなのだ!
も全然ありなのです。
── というわけで、続いて「新しくて高い」「古くて安い」以外の新築・中古の違い、特徴です。
比較していってみましょう。
新築と中古のあれこれを比較!
まずは購入すべき物件探しです。どちらも情報誌やネットなどでまずは検索。
新築の場合は売主が不動産会社になりますので、情報の量も豊富、内容的にも濃いです。
広告が入っていることもテレビCMで物件を紹介していることもあります。
とにかく情報が手に入りやすいのが新築の特徴の一つ。
見ているだけでも楽しい。
最新設備を備えたきれいな部屋が、写真や間取り付きでたくさん紹介されています。
その中で気に入った物件があればモデルルームを見学。
いくつかの候補を見比べながら、徐々に1つに絞っていく感じです。
一方中古物件の場合、売主になるのは これまでそこに入居していた方。個人です。
(稀に不動産会社が扱う中古物件もあり)
個人なので、派手に宣伝を行うことはありません。
情報が向こうからやってくることもない。
希望条件をある程度絞ったうえで物件を探していきます。
新築のように「大体どこも住戸のスペック的には同じ」ということもありません。
築年数も違えば、設備等もそれぞれに違う。
物件数は多いのですが、自力では無理があるため、
「予算はこのくらいで駅からは〇〇分以内、近くにスーパーがあること。ついでに和室もあると最高」
などの条件を伝え、不動産仲介業者に物件探しのお手伝いを頼みます。
ここも新築・中古で違ってくる部分。
- 新築: 希望条件がハッキリしていなくても、候補を見比べながら(モデルルームなどで)、最終的に一つに決める
- 中古: ある程度絞った希望条件の中から候補を探す
こんな感じですね。
── ではまずは新築マンションから。
モデルルームを見学しに行きましょう。
建物の構造やどのような工事を行ったか、キッチンなどの最新設備の説明、地震への対策(耐震構造や免震構造)など、そのマンションに関する様々な情報も展示されています。
売り込みポイントのような感じ。
だから説明も丁寧です。
モデルルーム、親切。
ついでに書いてしまいますと、新築の場合 これら親切丁寧な情報提供料も物件価格に上乗せされています。
(大体物件価格の2割程度が、広告費や不動産会社の利益分)
新築物件が割高なのは、こうした事情もあるのです。
また、マンション丸ごとをモデルルームとしているわけではありませんので、わかるのは上記情報と、室内の様子だけ。
しかも間取りは同じマンション内でも様々ですので、あくまでわかるのは室内の雰囲気です。
最上階を希望している人でも、窓からの眺めや実際の陽当たりなどを確かめることはできません。
モデルルームがあるのは大抵1階。
最上階を希望しているとしても モデルルームの窓から見えるのは道路です。
中古の場合では、見学するのはモデルルームではなく実際に住むことになる物件。
実物を見ることで入居後の生活のイメージが湧きやすいのですね。
見学時に見た窓からの眺めは、入居した後に毎日見ることになる景色と同じ。
ですが、新築物件のように何から何まで情報が提示されるわけではありません。
仲介会社に頼んで 新築当初の資料を見せてもらったり(その資料がすでに存在していないことも)、自力で専門業者に依頼し住宅診断等を行う必要も出てきます。
ここでポイントとなるのが「1981年6月」。
建築基準法の改正により、建物の耐震強度についての基準が大きく変わった年です。
「震度6強から7の地震でも倒壊・崩壊せず、5強程度ではほとんど損傷を受けない建物であること」
ですので、つくられたのが1981年以前の場合には注意が必要です。
……注意、といったレベルではないですね。
(※ 2007年にも改正が行われ、違反した場合の罰則が大きくなっています)
だからしっかりチェック。
耐震なのか免震なのか等含め、購入前にその建物の情報を豊富に得ることができるのは新築の方。
建物としてのものではなく、これから住むかもしれない住戸をリアルに感じられるのが中古マンションです。
── ですがその前に考えなくてはいけないのが「どこに住むか」ということ。
(。-`ω-) 東京大学の近くのマンションに住みたいのだ。
住んでいるだけで賢くなれそうな気がするのだ……
住んでいるだけで賢くなれそうな気がするのだ……
それは猛烈に気のせいですが、通勤に便利であったり 良く利用する施設が近くに合ったり、またはその地域の住環境が気に入ったり、と、その理由は様々。
ですが、希望する地域にマンションが建てられるほどの土地が余っているとは限らないのですね。
つまり、新しい新築マンションも建たない。
仮に運よく新築マンションで入居者を募集していた場合でも、予算や住みたい階数、間取りなどが希望に合わない場合もあります。
Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン 頭が……良くならない……
はい。
いろんな意味で、なりません。
どうしてもその地域にこだわりたい場合には、売りに出される元新築マンションを待つしかないのです。
ここも新築と中古の異なる部分。
探し方も、違います。
新築物件は、新しくマンションが建てられるほどの土地が空いていることが前提。
空きのある土地は固まっているわけではありませんので、探す範囲も広くなります。
その中でいくつかの候補を見つけ、少しでも希望の条件に近いものを選択、です。
一方の中古は、土地云々ではなく、空きさえ出れば候補に入れられます。
すでに建っているマンションですので、希望している地域からそれほど離れていない狭い範囲での候補選びができるのです。
そして話は最初に戻り、モデルルーム・現物をそれぞれ見学。
-
◆ 情報収集の仕方の違い
- 新築: 情報誌やネットなどで情報収集。
その後、モデルルームなどで建物のつくりや工法、設備耐震性など、展示された情報でチェック
〇 情報量が豊富
〇 モデルルームでの展示で、建物の安全性や設備、セキュリティなどシステムについての情報も得られる
〇 同じ時期に建てられた新築マンションなので、どのマンションを選んでも 設備等(最新鋭)に大きな違いはない
× 実際に入居する階数や間取りなどはモデルルームのものとは違うため、部屋からの眺望、陽当たり等の確認はできない - 中古: 実際に住む部屋を見て確認
〇 実際に入居する部屋を見学することができるため、窓から見える風景、陽当たりなどもチェックできる
× 物件により設備やシステム、築年数等、すべて違うため、一つひとつを丁寧に見ていく必要がある
さてさて、とりあえずこうして新築・中古ともに候補が決まりました。
「あれこれを比較!」と書いておきながら、ほとんど物件探しで終わってしまったような気もしますが……
続いて、それぞれのメリット・デメリットについて見ていきましょう。
新築マンションの「メリット」と中古マンションの「デメリット」
-
◆ 保証期間
〇 新築: 最低でも10年間の保証あり(建物の構造部分)。設備等に関しては各メーカーの保証つき
× 中古: 保証の範囲は仲介会社により異なる。10年を超える築年数の物件の場合「売主の瑕疵担保責任(3か月から半年程度)」のみということも
(※ 瑕疵担保責任: 売主も気づいていなかった欠陥や不具合などが見つかった場合、売主側が責任を負いますよ、という保証)
-
◆ 購入時の諸費用(物件価格以外にかかる費用)
〇 新築: 物件価格は高いが、それ以外の諸費用は全体では安く抑えることができる
× 中古: 新築にはかからない「仲介手数料」等、諸費用が新築に比べ高くつく
-
◆ 税制面での優遇
〇 新築: 住宅ローン控除・不動産取得税・固定資産税の軽減措置を受けることができる(一定の要件をクリアする必要はあり)
× 中古: 住宅ローン控除・不動産取得税の軽減措置は受けられるが、固定資産税については「新築住宅に関するもの」であるため、受けることができない
-
◆ 住宅ローン
〇 新築: 資産価値が高いため、一般的な最長期間である35年ローンが組める。融資額も大きくなり、その審査にも通りやすい
× 中古: 資産価値が新築に比べ低い、とされ、長期ローンが組めないことも。また融資額も物件価格の7割程度が上限となることが多く、審査に通るための条件も(新築よりは)厳しくなることが多い
-
◆ 間取りの変更など
〇 新築: 間取りのプランも豊富で、自由に選べることが多い
(追加料金はかかりますが「中古を購入 → リフォーム(またはリノベーション)」のパターンに比べ、費用がかなり抑えられる
△ 中古: 上記の通り、購入後リフォームやリノベーションを行う
(詳しくは後述しますが、これが楽しい!という意見も多くあります。好みに合わせて「自分だけの城」的な部屋に変更できるのは魅力的かも。
……ですが、物件によっては 変更できる範囲が制限されている場合もありますので、購入前には必ずご確認ください)
-
◆ マンション内のコミュニティ
〇 新築: 入居時期は皆さん一緒。先輩・後輩もなし。仲良しグループなどなど、若干面倒くさい関係がまだでき上っていません。
気後れすることなく入居者同士の輪に入っていきやすいのも新築のメリットです
× 中古: マンション内ですでにちょっとした力関係ができ上っていることも。
「新入り」になりますので、何事にも遠慮しがちになる、人間関係がうまくいかない……というお悩みも多いそうです
-
◆ 管理体制など
〇 新築: 管理の良し悪しはマンションの資産価値に直接結びついてきます。
管理体制の良好な新築物件がほとんど。
また管理ルール変更を求める話し合いなどでも「第1期生」として意見も言いやすくなります
× 中古: 物件にもよりますが、管理にそれほど気を配っていないマンションもあるようです。
管理体制をどうにかしてほしくても「コミュニティ参加」の時同様、意見を言い出しにくい傾向にあるようです
-
◆ 管理費・修繕積立金
〇 新築: 建てられたばかりのマンションですので、当分は補修の必要はありません。そのため入居後10年ほどの期間は管理費・修繕費ともに低めに設定されていることが多いです
× 中古: 新築に比べ両者ともに高めに設定されている物件がほとんど。
入居当初はそれほど高くなくても、通常 住んでいる期間が長くなると負担額が大きくなってきます
(古くなってきている建物を補修する必要も増えてくるから)
-
◆ ペットの飼育
〇 新築: ペット可物件が増えています。ペット専用の「足洗い場」「水飲み用の水道」など、快適ペットライフ度が跳ね上がる設備のあるところも多いよう。羨ましい……
× 中古: 古い物件ではほぼ不可。飼育可能な物件でも小型犬のみ、共有スペースでは抱きかかえて移動など、肩身の狭い思いをしそう
-
◆ 駐車場の確保
〇 新築: 一気にマンション中の住戸が埋まるわけではないので、空きがある状態であることが多く 確保しやすい
× 中古: すでに入居している方が確保済みであることが多い。しかも順番待ちの状態。
マンション内の駐車場の確保はムリ、と覚悟しておいた方がいいです
(*´Д`) やっぱり、新築一択……
少し待て!
中古にはない「新築のメリット」から書いているだけです。
中古マンションにもメリットはたくさんあります。
では続いてこの逆パターン。
「中古のメリット」について、新築物件と比較していきましょう。
中古マンションの「メリット」と新築マンションの「デメリット」
さて、いよいよ中古の活躍です。-
◆ 消費税
〇 中古: 消費税がかかるのは「仲介手数料」に対してのみ。
物件価格にはかかりません。そして来年には消費税は10%に。これは大きい
× 新築: 前述の通り物件価格には不動産会社の利益や広告費も含まれています。
そこに対しても消費税はバッチリかかります
-
◆ 購入前に確認できること
〇 中古: 見学の際に入居後実際に住む部屋を見ることができるだけでなく、
「管理状態」
「地域の雰囲気」
「コミュニティの様子や雰囲気」
「お隣や同じ階に住んでいるのはどのような人なのか」
なども事前に知ることができます。
どうしても馴染めない、と感じた場合には候補から外せばいいだけ
× 新築: すべて未知数
白紙状態からスタートするため「入居前に思っていたイメージと全然違う……」ということも。
お隣に住むことになる人が「あまりお近づきになりたくないタイプの人」だった場合でも、事前に知ることはできません。
-
◆ 住める地域の幅
〇 中古: 先ほども書きました通り、人気のある地域には大抵すでにマンションが建っています。
そこに住んでいた方がマンションを売りに出せば、割安の資金で人気地域・希望地域に住むことも可能。
(空きが出ないことももちろんあり。
希望地域でも、間取り・階数などが条件に合わないこともありです。
が、空いた土地のない場所に新築が建つ可能性はほぼゼロですので、中古の方がチャンスは広がります)
× 新築: 人気のある地域に新築が建てられる可能性は低い
-
◆ リフォームやリノベーション
〇 中古: 物件価格が抑えられる分、リフォームなどに費用をかけられるのも中古マンションの魅力の一つ。
室内のリフォーム・リノベーションが可能な中古マンションは増えてきています。
新築のように「みんな一緒」の設備や仕様ではなく「自分のこだわり仕様満載の部屋」をつくることができるのは(苦にならず、むしろ好きな方には)本当に楽しいそうです。
× 新築:「×」ではないです。新築でも購入前に間取りなどを変更できるのは前述の通り。
ですが「格安の中古マンション → リノベーション」に比べると、費用の面では少し分が悪い……
( ̄▽ ̄) お隣に住む女子高生がかわいかったのだ。
ここに、決めるのだ!
ここに、決めるのだ!
捕まりますよ……
ですが、新品ピカピカでなくても、今後住み続けていく地域や近隣、すでに住んでいる方の様子が入居前にわかるのは安心なのです。
仮にオートロックではない、など、セキュリティシステムが若干古いマンションであっても、マンション内の人間関係などコミュニティがしっかりしていれば安心。
頼りになる先輩たちが、何かと助けてくれたりもします。
……で、ない場合もありですが、いずれにせよ購入前に知ることができるのはいい。
「なんでこんなマンション買っちゃったんだろう……」という後悔や入居後のギャップが少ないことも、新築にはない 中古マンションのメリットです。
【おまけ】リフォームとリノベーションの違い
(=゚ω゚)ノ これは完全に「おまけ」なのだ。
興味のない方は 読み飛ばしてくださいなのだ!
興味のない方は 読み飛ばしてくださいなのだ!
古くなった建物内を新築時と同じ状態まで戻すのが「リフォーム」。
戻すだけではなく、さらに機能性などをアップさせるための工事が「リノベーション」です。
中古マンションは以前住んでいた方の使い方によって、室内の様子も変わってきます。
ほとんど新築の時と変わらないほどきれいに使っていた方もいれば、たばこのヤニで壁紙が変色していたり、キッチンがもの凄く使い込まれている(あまりきれいな状態ではない)、トイレが……などの場合も。
そこで汚れた壁紙を貼り替えたり、システムキッチンを新しいものに替えたりする。
これがリフォーム。
こうした現状回復作業ではなく、自分たちの住みやすいよう室内に手を加えていく作業がリノベーションです。
ですので、もう少し大がかり。
老朽化した電気やガスの配管などを新しいものに変えたり、間取りをガラッと変えてみたり、中古マンションの一室がこれまでとは別空間になるほどの改修工事的な作業です。
「リノベーションをもう一度楽しみたい……また引っ越そうかしら……」
あえて格安の中古マンションを買い、これを楽しみたい、という方は想像以上に多いのです。
確かに楽しそう。
全て自分好みにカスタマイズしていいよ、と言われたら、テンションも上がりそうです。
新築では購入前に選べる間取りなどのバリエーションも豊富。
部屋もキレイです。
ですので、リノベーションをするまでもない。
(*´з`) でも~、リノベーションしたいし~、中古の方がいいかも~
最近では、本当に「リノベーション目的の中古選択」をする方も増えているのです。
新築・中古、それぞれの「メリット・デメリット」のまとめ
リノベーション、楽しそう……でも、ペットとの快適ライフも捨てがたい……
では最後にもう一度おさらいです。
新築・中古、それぞれのメリット・デメリットをサクサクっとまとめていきましょう。
-
◆ 情報収集とか苦手……
「新築」向きです。
それほど必死に情報集めをしなくても、不動産会社側から豊富な資料が提供されています。
(※ 情報提供料プラス不動産会社や施工業者の利益は物件価格に上乗せ)
-
◆ 消費税の増税が怖い……
「中古」向きです。
消費税がかかるのは中古マンションの場合「仲介手数料」にのみ。
新築マンションの価格は「税込み」で表示されていますが、結局丸ごと物件価格に消費税がかかっていることになります。
-
◆ どうしても住みたい地域がある
「中古」向き。
土地が余っていなければ新築マンションは建てられません。
現在住んでいる方が売りに出せば そのマンションはすべて「中古マンション」です。
住める地域の選択肢の幅が広くなります。
-
◆ 時代の最先端のシステムや設備に囲まれて生活したい!
「新築」の勝ち。
築年数の浅い中古物件であれば、システム・設備(建物の構造も)とも 新築とそれほどの違いは見られないかと思いますが、新しい物件ほどより充実していることも事実です。
新築マンションでは、入居者同士でのカーシェアリングや防災備蓄倉庫、常駐しているコンシェルジュなど「本当にいいの?!」と思うほどのサービスを受けることができます。
-
◆ 地震対策は万全にしておきたい
こちらも「新築」。
上記の防災備蓄倉庫もそうですが、建物をつくる技術も日々進化しています。
1981年以降に建てられたマンションであれば「耐震強度」については新基準がみたされています。
ですが、耐震だけでなく、免震・制震技術などが施されていることが多いのは「新築」。
ただし新築のすべてが「免震・制震」構造というわけではありませんので、中古も含め、どのような地震対策が施されているのかについては、事前にしっかりとご確認をお願いします。
-
◆「物件価格」以外の費用をできるだけ抑えたい
「新築」強し。
新築にしかかからない費用が「修繕積立基金(一時金・毎月支払う「積み立て修繕費」とは別物)。
中古にのみかかるのが「仲介手数料」です。
その他にかかる諸費用を併せても、あくまで目安ですが、
・新築: 物件価格の2.5%~5%程度
・中古: 5%~8%程度
「割安だ!」に思える中古でも、実は物件価格以外のもので費用が嵩んでしまったりもするのです。
-
◆ 管理状態の良いところに住みたい
「中古」の方が安心。
すでに出来上がっている管理システム等を入居前に確認することができます。
新築の場合には、すべてを一から作り上げていくことに。
うまくいけばいいのですが、実際のところどうなっていくのかは未知数であるため、少しだけ心配。
-
◆ 税金の軽減措置をお得に利用したい
「新築」の方が有利。
中古でも要件を満たせば、
・住宅ローン控除
・不動産取得税
・登録免許税
などの軽減措置は受けることができます。
が「新築物件の固定資産税」の軽減措置は受けることができません。
-
◆ 住宅ローン以外の出費をできるだけ抑えたい
こちらも「新築」。
新築では入居後5年から10年間は「管理費・修繕積立金」が低く設定されていることがほとんどです。
できたばかりのマンションですので、補修工事などの必要もないためです。
ですので、一般的に「管理費・修繕積立金」の合計が高くなるのは中古マンションの方。
あくまで目安ですが、新築では2万円弱、中古では3万円強、というのが相場のようです。
-
◆ どんな人がご近所さんになるのかが心配……
「中古」向きです。
購入前に見学に行くのは、今後実際に住み続けていく部屋。
近隣の入居者だけでなく、マンション内コミュニティや地域の雰囲気まで事前に知ることができます。
-
◆ 一刻も早く引っ越しがしたい!
すぐにはムリですが「中古」の方が早いです。
新築はまだ建物自体が完成していない場合がほとんど。
完成するまで、引っ越せません。
物件によっては1年待ち、ということも。
多くの場合、中古では1か月程度で入居できるようになります。
-
◆ 保証は大事だ!
「新築」圧勝。
新築マンションでは建物の構造部分の欠陥に対し、最低でも10年間の保証期間が設けられています。
不動産会社が直に販売している中古マンションの場合には保証が付くことも多くなってきていますが、売主が個人の場合、
「売主の瑕疵担保責任(3か月~半年程度)」
のみ、もしくは一切の保証なし、ということもあります。
また、設備等についても新築では各メーカーの保証がついていることがほとんど。
が、これらに関しても中古は不利。
保証が付かないだけでなく、設備自体にガタが出始めるのが10年くらいたったころなのです。
修理や交換の費用もプラスで用意しておく必要もあり、です。
-
◆ 何を基準に選べばいいのやら……
「立地」
「建物の構造」
「管理状態」
ここだけは押さえておいてください。
購入時には「ずっとここに住み続ける!」と思っていても、人生何があるかわかりません。
家族が増え、今の住戸では手狭になることも、いきなり転勤を命じられることもあり得ます。
今のマンション以上に条件が良く、しかも割安な物件が見つかるかもしれません。
で、マンションを売却。
冒頭のセリフではありませんが、新築もいつかは中古になっていきます。
ですが実際、築10年も 築13年も「築0年(新築)」に比べればそれほどの差はないのです。
違いが出てくるのが上記3つ。
資産価値を決める基準になるものです。
できれば ここだけは妥協しないマンション選びを本気でおススメします。
-
◆ でもやっぱり、物件価格がネック……
「中古」にしましょう。
前述の通り、新築の物件価格には2割程度 広告費や不動産会社等の利益が上乗せされています。
ですので「購入後 即売りに出された中古マンション」だとしても、この2割を差し引いた金額で購入できることになるのです。
(※ すぐ売る人はほぼいないと思いますが)
「不動産会社が売りに出している新築だから」という理由だけでかなり価格的にも割高になってしまっています。
それに見合うほどのメリットが新築マンションにあることも確かですが、
「築3年(くらいの築浅)でマイナス2割」
「出来立てで物件価格プラス2割」
ここは大きいです。
このマイナス2割をリフォームに充てる。
もしくはもう少し築年数の経った価格の低いものを狙いガッツリ リノベーションを楽しむ。
……二回目ですが新築もいつかは中古。
「新築」にこだわりすぎて、立地等 資産価値を左右する基準を後回しにしてしまいますと、後々後悔することになってしまうかもしれません。
中古をおススメしているわけでも、将来の売却を前提として話を進めているわけでも全くないのですが、選択肢は色々あります。
ぜひぜひ、納得のいく物件選びをご検討いただければと思います。
終わりに……
皆さま、お疲れさまでした。最後のまとめで、
「新築のメリットの方が圧倒的に多かったような気がする……」
と思われたかもしれませんが、大丈夫。気のせいです。
建物のキレイさや設備・サービスの充実など、新築には中古にはない良さがたくさんあります。
ですが、建物に住むのではなく(いや……住むのは建物内に、ですが)、ドアから一歩出た 外の環境も大事。
今後の生活に関わる大事な部分を入居前に確認できることは中古マンションの強みです。
かといって新築マンションがダメというわけではなく……これらに関して未知数であるというだけなのです……
(@_@) 結局、どっちにすればいいのか……むしろ謎が深まってしまったのだ……
人生の中でもほぼトップレベルの高い買い物ですので、どちらにもメリット・デメリットがある、ということを踏まえたうえで、慎重に・慎重に、です。
── ここまで書いておき恐縮なのですが、新築・中古のどちらか、ではなくご自身の希望(立地条件や間取り、予算などなど)を優先し、
「こんなところにいい物件発見!! あ、これ『新築(中古)』だったんだ~」
のような探し方をされるのがベストのような気がしています。
探し方は新築と中古では異なりますので、
「パパは中古担当ね。ママが新築担当するから」
などというのも楽しそう……
皆さまが素敵なマンションと出会えますよう、そしてできればその過程も楽しめますよう、ここからこっそり願っております。
今回も長文に最後までおつき合いいただき、本当にありがとうございました。