現存する日本最古のログハウスは東大寺(奈良県)の正倉院宝庫 ──
お寺とログハウス……スーパー・ミスマッチ……
別荘やロッジ、おしゃれなカフェ、道の駅など、少し現実から離れた建物としてのイメージがある「ログハウス」。
「雪山山荘○○事件」等、ミステリ小説の舞台になることも多いですね。
これが「雪山ホテル」「雪山旅館」などですと、雰囲気が出ません。
事件もショボそう……
── と、非日常感あふれるログハウスですが、近年では「普通に住む家」としてログハウスを選択する方たちも増えてきています。
日常を非日常空間で過ごす。
ものすごく贅沢な気分に浸れそうです。
ログハウスは東大寺正倉院(宝庫)として残っていることからもわかります通り、耐久性にも非常に優れた建物。
また、快適な日常生活の場を提供してくれる建物としてもとても優秀なのです。
ですが人によっては、
-
「心地いいのは確かだけれど、デメリットも多すぎ!」
と、感じることも。
まずは良い面・悪い面だけでも押さえておいてしまいましょう。
ログハウスの「メリット・デメリット」について具体的に解説いたします。
皆さまのお住まい選びの参考に、少しでも役立てましたら幸いです。
ログハウスって、どんな家?
「ログ」=「丸太」丸太でできた家です。
柱や梁(はり)だけではなく、オール「木」。
壁も床も天井も、使われているのは木材のみです。
化学物質などの使用も一切なし。
がんを発症する恐れのある「ホルムアルデヒド」や、シックハウスの原因ともなる「アセトアルデヒド」等の有害物質による被害もなし。
天然素材だけを使用する「健康な住宅」です。
家に居ながら木に囲まれた生活。
気持ちもいいのです。
── 気持ちもいいのですが、この「木材だけを使用」という部分がメリット・デメリットの分かれ道。
何せ相手は天然の木。
どれもがまっすぐに生えているわけではありません。
反っているものもあれば、多少ねじれている木もある。
樹木の種類による特徴など、それぞれに個性はバラバラなのです。
(。-`ω-) ムム。いくら健康な住宅でも、ナナメってる家に住むのは気持ちが悪いのだ
機械により同じ大きさ・形に加工した木材を使用してつくられるのが「マシンカットログハウス」。
フィンランド生まれのニュータイプです。
加工されるログ材(ログハウスに使われる木材)も丸みを残した「丸ログ」、曲線部分のない「角ログ」など、いくつかの種類の中から選ぶこともできます。
外壁はあえて丸太の形状を残し、家の中の壁は「角ログ」使用で凸凹なし、などなど、その組み合わせは自由。
一度にたくさんのログ材が作れるため、費用も抑えられ、さらに頑張れば自力で建てることも可能です。
実際に「ログハウスキッド」として一式が販売されているのはこちらのタイプがほとんど。
◆ 憧れのミニログハウス セルフビルド日記
そしてもう一つのタイプが「ハンドカットログハウス」。
使用する丸太に加工を施していないタイプです。
- ハンドカットログハウス: 伐採した丸太をそのまま(皮は剥ぎます)使用
- マシンカットログハウス: 機械を使って同じ大きさ形に加工された木材を使用
使用する丸太の加工法により、ログハウスは大きく2つに分けられています。
( ̄▽ ̄) 本当に簡単にまとめちゃっているが、この違いは結構なポイントなのだ!
とにかく「ログハウス」とは木材だけでできた家。
まずは「木」がもたらしてくれる数々のメリットから見ていきましょう。
ログハウスのメリットとは?
ポイントとなるのは、-
「木の持つ性質」
「ログハウスの構造」
これらによるメリットは以下の通りです。
- 湿度を自動調節(木が)
- 断熱効果が高い
- 防音効果や音響効果も
- 火事に強い
- 地震にも強い
- 台風にもビクともしない
- 癒し効果がある
- 建物の耐久性 など
順にみていきましょう。
-
「湿度を自動調節」
湿度が高いな、と感じれば湿気を吸い込み、逆に湿度が足りない時には木に含まれている湿気を吐き出してくれます。
ですので「不快指数」がぐんと上がる夏(湿度が高い)でも「乾燥注意報」が出るような冬(湿度が低い)でも、ログハウス内は快適な湿度が保たれ続けることになります。
ログハウスではない住宅(例えばマンションなど)の壁は呼吸をしません。
ですので「気密性」は高いのですね。
外の空気が中に入ってこない。
また、中の空気も外に逃げない。
これはこれでいいことでもあるのですが、そのため空気を流通させたい場合には「換気扇をつける」「窓を開け放つ」。
ログハウスでは、ログ材自体が呼吸をしてくれていますので、この必要もない。
(; ・`д・´) もしや、その分 すきま風がビュービュー……
が、気密性に万全を求めるのはムリ。
ですが、これも「心地の良い気密性の悪さ」になるかと思います。
あまりぴっちり密閉された空間というのも居心地の悪いもの。
ここはあくまで好みですが、
-
「ログハウスで暮らすようになり、今まで住んでいたところの気密性の高さの必要のなさに気付いた」
-
「断熱効果」
これに関係してくるのは「木の構造」。
天然の木ですので、中身は細胞で満たされていることになります。
形状は「チューブ状」。
チューブ状の細胞が束になっているのですが、このチューブの中に抱き込まれているのが「空気」です。
つまり、木の中身は空気を含んだ細胞でびっしり。
それがログ材になるのですね。
丸太をそのまま使用する「ハンドカットログハウス」では、20センチ以上の厚みのある木材。
機械で加工したマシンカットの場合でも、その厚みは10センチ前後。
かなり分厚いのです。
空気を抱き込んでいる分厚い木の壁が外壁となるため、外からの暖気・冷気を遮断。
天然の断熱材になってくれます。
また、このように分厚い木材は雑音を吸収する役割も持ちます。
-
「防音効果」
さらには、
-
「音響効果」
音はこの凸凹にぶつかり、跳ね返されることに。
(@_@。 吸収されるのか、跳ね返されるのか、はっきりしてほしいのだ
ここも「中高音域、最高!」という方には何のメリットにもならないのですが、確かに、ログハウスで楽器の演奏等をすると、いつも以上に聞きやすい音楽として耳に届くことは間違いありません。
そして続いての、
-
「火事に強い」
(# ゚Д゚) ウソをついてはいけないのだ!「木」=「よく燃える」は常識なのだ!
ここもびっくりポイントの一つ。
木が燃えやすいのは事実なのですが、ログ材に使われている木材は分厚いのです。
火が燃え広がるのに必要なのは「酸素」。
ログハウスの木材に火が付いた場合を考えてみましょう。
まずは、火元に触れた表面が燃えます。
燃えるということは「炭化する」ということ。
表面には炭素の層ができます。
でも、まだ表面。
そしてこの炭素の層が曲者。
この層により、空気の行き来がストップするのです。
空気(酸素)が供給されなくなれば、火も勢いをなくし、そのうち消えてしまうことになるのですね。
表面は燃えても、中心部までは火が届かない。
バリアのような役割を果たしてくれます。
だから、火事に強い。
火事が起こらない建物、というわけではないのですが、燃え尽きてしまうことは ほとんどありません。
また化学物質などを建材として使っていない「天然素材オンリー」な建物であることもこちらのメリットにプラス。
一気に燃え広がることもなく、燃えた部分から有害物質が発生することもありません。
ナイス、ログハウス。
前述の通り、日本最古のログハウスは東大寺正倉院のものですが、昭和に入りログハウスはホテルなどとしても登場してきています。
ただし、一般の住宅として市街地等に建てることが認められたのは実は最近のこと。
やはり「木でできたログハウスは火災に弱い」と思われていたのですね。
現在でも、国土交通省の指定する、
- 防火地域: 建てられません
- 準防火地域: 耐火認定を受けているログハウスのみ可
続いて、
-
「地震に強い」
先ほどもチラリと書きましたが、通常の木造住宅の「柱」は「縦」にして使います。
梁は屋根を支えるため柱の上に張り渡す木材ですので「横」向きですが、大もとの柱が折れてしまう。
で、倒壊です。
ですが、ログハウスでは木材は横向き。
横向きに積んだ木材の上下交差する部分に切り込みを入れ、それぞれがっちり密着させて上へ上へと組み上げていきます。
これが壁。
もう、ちょっとやそっとでは倒れようがないのです。
また「火事に強い」の際にも挙げましたが、木の中身は空気を抱き込んだ細胞。
軽いのですね。
地震で影響を受けやすいのは、より重い建造物です。
さらには木自体の持つ柔軟性。
揺れを吸収してくれます。
地震に強いログハウスですので、
-
「台風にもビクともしない」
-
「癒し効果」
また、木目の中途半端に規則性のある模様にも癒し効果はあり、です。
おそらく皆さま どこかで聞いたこともあるのではないかと思うのですが、それが、「1/fゆらぎ」と呼ばれるもの。
リラックス効果のあるBGMとしてもよく使われている、小川のせせらぎ、焚火のはぜる音、雨音など、身近にあふれた様々な、
-
「規則性の中に予測できない不規則さのあるもの」
何となく、落ち着くのですね。
人間の心臓の音などもこれ。
木に囲まれた生活空間というのはまさに森林浴をしているかのような「フィトンチッド」という物質による癒しと、木目のもたらす「1/fゆらぎ」のダブルリラックス効果を与えてくれるのです。
そして最後に、再三書いております、
-
「耐久性」
(お子さんやお孫さんの代までも余裕です)
(。-`ω-) 今、なんか大事なことをサラッと言われたような気が……
上記の数々のメリットも、
-
「メンテナンスを怠らなければ」
それ以外にもちょこちょことデメリットは存在しています。
続いて気を付けるべきポイント。
デメリットについて見ていってみましょう。
ログハウスの「デメリット」は?
ログハウスとはオール「木」でできた住宅。ですので、木の持つデメリットがダイレクトにログハウスにも降りかかってきます。
なんといっても、木はその管理が難しいのです。
まずは2つある種類のうち「ハンドカットログハウス」の場合。
丸太の形をそのままに使用したものですね。
見た目も作り方も武骨でワイルド。
圧倒的な存在感があるのですが、そもそも建てるのに相当の技術が要されます。
腕のいい職人さんが建てたものか、それほどでも……の職人さんが建てたものかによって、住み心地、耐久性、地震への強さなど、何から何まで変わってくることに。
木にはそれぞれに個性があるため、その性質を見極めるのも非常に難しいのです。
ログ材に適している木(大抵針葉樹が使われます)の種類も、
- 杉
- ダクラスファー
- ノルディックパイン
- ヒノキ
- ウェスタン・レッドシーダー
- ロッジボールパイン
- スブルース
また、
-
「強度はあるがヤニ(脂)が出やすい」
「柔らかく加工しやすい」
「塗料との相性がいい」
ハンドカットログハウスを建てるのは熟練した職人さんにお任せした方が絶対にいい。
(※ キッドが販売されていないわけではないのですが、ハードルが高すぎです)
職人さんの知識と技術と勘と情熱(と、木の性質の違い)によって手作業で作り上げられたログハウスですので、本当に一つひとつの個性が際立ちます。
しかも機械による加工もなしなので、モロに木。
木の持つ温かみも より伝わってきます。
ただし、職人さんの情熱以下諸々の分、マシンカットに比べ、建築期間もコストもアップ。
丸太の形、つまり曲線だらけの家となりますので、通常の住宅とは生活空間もかなり違った様相となるのです。
これは結構大きい。
大抵のお宅では、壁に沿って家具などを配置することが多いかと思います。
ハンドカットログハウスでは、これができない。
壁自体が凸凹しているからです。
くっつけられません。
無駄なスペースが出てきてしまいます。
マシンカットログハウスではログ材を選べますので、家の中の壁に「角ログ」を使用すればこうした事態はある程度防げるのですが、やはり「木」ですので、壁に水が浸みてくることがあるのです。
(※ もちろん「ハンドカットログハウス」でも同様に雨は浸みてきます)
これが「雨漏り」とも呼ばれるもの。
ログハウスは丸太を横に積み、上下交差する部分を密着させて組み上げてつくられますが、この「交差する部分」からの水の浸透です。
部屋の四隅ですね。
通常の雨程度でしたら問題はありません。
が、かなりの大雨や台風の時のような横向きの風、壁に向かって吹きつけるような雨には若干弱い。
浸水するほどの雨漏りではなく、本当に浸み出てくる程度なのですが、さすがにそこに家具などを置いておくのはちょっと心配です。
(※ 家具も傷みますし、カビも生えます)
防水性を高めるための充填剤を埋め込むことで(コーキング)対処できますので、雨漏り対策もあらかじめ施しておくことをおススメします。
ただし、これは完全には防げません。
ログハウスの特性上、ある程度はどうしようもないものです。
その他、ログハウスの宿命的デメリットはこちら。
- ログハウスの自重や乾燥により壁が下がってくる
- ログ材の反り、割れ、縮み
- 外壁の塗装等、定期的なメンテナンスが必須
- 間取りに制限があり、リフォームもしにくい
- 虫が冬眠をする(日常的にも多くやってくる) など
-
「壁が下がってくる」
「ログ材の反り、割れ、縮み」
- マシンカット: 機械を使って同じ大きさ形に加工された木材を使用
- ハンドカット: 伐採した丸太をそのまま使用
ここにプラスで行われるのがログ材の「乾燥」です。
天然の木は伐採された後でも呼吸をし続けているのは前述の通り。
生きているのですね。
呼吸をし続けていけば、いずれ木の表面は乾燥してきます。
水分が抜けていくからです。
自然なことなのですが、乾燥した木の表面には割れやねじれ、反りなどが生じることに。
ですので、あらかじめこうした現象が起こらない程度に乾燥を進ませてしまう必要があるのですね。
「マシンカット」で使うログ材は「乾燥室」でじっくりと、「ハンドカット」では屋外で1年間ほど自然乾燥させるのが一般的。
が、それでもログ材は分厚く呼吸を繰り返しているため、加工を施されたからと言ってまったく割れが生じない、ということはありません。
生きているから仕方ない。
が、割れにより強度が低くなるといったことはありません。
呼吸をしている証ですので、むしろ「調湿効果」が高まるメリットにも繋がる現象なのです。
が「壁は下がる」。
呼吸も含め、暖房などによる乾燥により、木の水分は抜けていきます。
丸太の太さが、乾燥した分収縮する感じ。
つまり、木の円周自体が細くなるのですね。
そしてログハウスは丸太を横向きに組み上げてつくられるもの。
1本の丸太の円周が1センチから1.5センチ細くなりますので(ハンドカットの場合)、それをいくつも組み上げた壁全体ではかなりの沈下が起きることになるのです。
加えてログハウス自体の重み。
この2つにより、ログハウスの壁高は低くなっていきます。
(※ ログハウスの沈下現象のことを「セトリング」といいます)
乾燥のさせ方、ログ材の分厚さ(ハンドカットでは20センチ以上・マシンカットでは10センチ前後が多い)の違いにもより、より大幅にセトリング現象が起きやすいのは「ハンドカットログハウス」の方となります。
ですが、これも永遠に続くわけではなく、一般的には建てた年から3年程度で落ち着き、その後の進行は緩やかになっていきます。
ただ、沈んでいくだけならいいのですが(よくはないですが)、丸太以外でできている「窓」や「ドア」などは一緒に沈んでいかないのです。
(。´・ω・)? それが何か……?
木材が縮んでいるのに、窓やドアはそのままなので、家に歪みが生じてしまうのです。
また、「柱」も沈みません。
(※ 縦方向に設置されているから)
「階段」もそう。
セトリング対策をしないと、えらいことになってしまいます。
ですが、これも天然素材でできているログハウスの宿命。
こうした沈下への対策は建築段階で取られています。
ただ、対策を実行するのは「ご自分で」となりますので、そこはちょっとだけ面倒。
- ログ壁自体を固定しているボトルを締め直し高さを調節
- 窓やドアなどにあらかじめ設けられている空間(セトリングスペース)につけられている装置で調整
- 柱の上(もしくは下)につけられているボトルで高さを調節
- 沈むことを見越し、階段下にあらかじめ付けられているボードを外して、2階の高さを調節
これらはそれほど大変な作業ではありません。
が、作業すること自体が「手間」と感じる方にはログハウスかなりのデメリットになるかと思います。
また、どうしてもご自身の手に余るような歪み等が生じてしまった場合には業者さんにお願いせざるを得ないことも。
こうした「もしかしたら」が住み始めて数年後に出てくる可能性があることもデメリットと言えるかもしれません。
さて、行わなければならないメンテナンスは もう少し続きます。
-
「外壁の塗装」
◆ 2016年4月 ログ壁塗装
雨や風、直射日光を直に受ければ木材はどんどん劣化していきます。
木なので、放っておけば腐りもします。
外壁の老朽化を抑えるためにも3年から5年に一度の再塗装は必須。
防腐塗料などの塗り直しを行います。
こちらも業者さんにお任せすることもできますが、多くのログハウスのオーナー様はご自分で行っているようです。
(*´▽`*) メンテナンスが苦にならないのだ! むしろ、楽しくて仕方がないのだ♪
マシンカットログハウスの誕生地であるフィンランドなどでは、中古ログハウスの売買も多く行われており、新しいものより、手をかけてきれいに保たれた中古ハウスの方が高価格。
メンテナンスという、デメリットにもなってしまうような作業も、いずれ売却する際のメリットに変わるのですね。
ただし、ご自分で再塗装を行う場合でも足場などレンタルする必要もあるため、数十万円はかかります。
業者さんに頼む際には50万から100万円程度。
これが3年から5年に一度。
結構な出費ですが、ここは覚悟。
再塗装等、メンテナンスを怠れば、
( ̄д ̄) 悲惨な結果が待っているのだ……
せっかくの耐久性もオジャン。
塗装には時間も費用も掛かり大変なのですが、塗装後の達成感と「新築みたいでテンションが上がる感」も格別なのです。
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「間取りに制限・リフォームがしにくい」
ログハウスの2階(ロフト)の天井は「屋根」なので、デッドスペースも生まれます。
特にハンドカットログハウスの場合では、家の内部の壁も凸凹ですので、さらに家具の配置などの制約も受けることに。
そこで、
「よし、増築だ!」
となるのですが、それがそうそう簡単にできないのです。
穴をあけたら家が崩れる……
その点の自由度が高いのはマシンカットログハウスの方。
「ドーマ」と呼ばれる「屋根から突き出した小部屋(というか窓。説明が下手ですみません)」のようなものを設置することも可能。
最終的には好みですが、より現実的なのはマシンカットログハウスの方かもしれません。
最後に、
-
「虫が来る問題」
冬でも暖かいログハウスは冬眠にはもってこい。
ちょっと迷惑な気もしますが、こうした昆虫はまだまし。
問題はシロアリなどの害虫です。
また、高温多湿の日本ではカビ対策も施していかなければなりません。
しっかり対策を取っておかないと、土台が腐ることも。
……大打撃……
防虫効果の高い木材を土台に使う。
湿気対策として「炭」を床下に撒く、なども効果的なようです。
メンテナンスの大変さは、本当に人によっては「デメリットでしかない」レベル。
壁に生じる割れ、横殴りの雨の際に 部屋の四隅から滲み出る雨跡、セトリングによる壁高の沈下等、我慢できない方にとっては、ログハウスの醸し出す「フィトンチッド」「1/f ゆらぎ」程度ではデメリットは解消されません。
住んでいるだけでストレスになってしまう。
一般的な住宅とはかなり違う建物がログハウス。
メリットもデメリットも、使用するログ材と建物の構造によるものですので、デメリット部分だけを避けて通るわけにはいかないのです。
デメリットの大きさを今一度検討いただいた上で、それでも「ログハウス、最高!!」の方であれば、本当にログハウスで最高の毎日が過ごせるかと思います。
ログハウスの「メリット・デメリット」のまとめ
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◆ログハウスとは?
- ハンドカットログハウス: 伐採した丸太の形状をそのままに使用
→ 割れや反り、ねじれなどを防ぐため、屋外で1年ほど自然乾燥させたログ材を使う - マシンカットログハウス: あらかじめ機械で同じ形・大きさに加工した丸太を使用
→ 乾燥は大きな「乾燥室」で、時間をかけて行う
➡ 市販されているログハウスキッドの多くは「マシンカット」のもの。
難易度的にもコスト面でもハンドカットログハウスの方がハードルが高いです。
丸太を横向きに積み、木材の交差する部分を密着させて壁を組み上げる「丸太組構法」により建てられた住宅のこと。
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★ログハウスのメリット
- 調湿性に優れている
- 断熱性にも優れているため、夏に涼しく冬には暖かい
- 木の持つ雑音を吸収する機能、(特にハンドカットでは)壁の凸凹による音の反射により「防音効果」「音響効果」がある
- 分厚いログ材の中心部に火が届くまでに、表面にできた炭素の層が酸素の供給をカット。火事になっても燃え尽きることがほぼない
- 横に丸太を積んでつくられるログハウスの構造上、地震にも強い
- 台風などの大風にもビクともしない
- 木材自体が発する「フィトンチッド」という物質による癒し効果
- 木目の持つ独特の不規則さによる「1/fゆらぎ」のリラックス効果
- 東大寺正倉院宝庫(759年ごろ)が日本最古のログハウスであることからもわかる耐久性の良さ
➡ ただし、条件あり
-
☆デメリット
- ハンドカットログハウスの場合、建物の内部の壁も凸凹しているため、家具などがまっすぐに置けない
- マシンカットの場合にも(もちろんハンドカットでも)、ログ材が交差する部屋の四隅からの雨の浸透により物が置けない(雨漏り問題)
- ログハウス自体の重みや、ログ材の乾燥により、壁が沈下してくる
- 木材が呼吸しているため、ログ材の割れ、反り、縮みなどがどうしても生じてくる(強度には問題なし)
- 外壁の再塗装、雨漏り対策の塗料等、定期的な外壁(デッキなどがあればそちらも)のメンテナンスが必須
- ハンドカットログハウスの場合、リフォームが難しい
- 普通の昆虫もやってくるが、家の土台を腐らせるシロアリなどの害虫や湿気対策も必要
◎木の品質管理が難しい
→ メンテナンスが大変
終わりに……
マンションや木造住宅の立ち並ぶ市街地に「ログハウス」。ご近所さんからの注目の的すぎです。
が、ここで万が一メンテナンスを怠り家が悲しい状態になったら、さらに注目度もうなぎのぼり……
Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン メンテナンス、恐るべし……
ちゃんと定期的にやっていれば問題はありません。
家族総出で一つの作業をする、というもの楽しそうなのです。
が、基本的に面倒くさがり屋さんにはログハウスは向きません。
といいますか、メンテナンスが必須という「デメリット」を楽しみに変えられる方にしか向かないといってもいいかも……
ログハウスでなくても、木目による癒しが欲しければそのような壁紙を貼ることもできますし、木の香りすら芳香剤等で演出することは可能です。
ムリしてログハウスに住んで「こういうんじゃないんだよなぁ……」と後々後悔するのが一番痛いのです。
個人的には「ログハウス、最高!」派なのですが、誰にでも、
( ̄▽ ̄) 住めば都なのだ!
ぜひぜひ、メリット・デメリットをしっかりと天秤にかけ、比重の大きい方を選択の判断材料としてフルにご活用いただければと思います。
── 今回も長々と書いてしまいました。
皆さまがログハウスでも ログハウスでなくても、快適に過ごせるお住まいに出会えますよう、そのお手伝いが少しでもできていましたらうれしいです。
最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。