LINEで送る
Pocket



「小学校 → 中学校 → 高校 → 大学」


「→」のどこかの時点で、必ず経験しなければならない「受験」を小学生の早い時期に乗り切ってしまおう、というのが「中学受験」。

小学生
1999年からは公立でも「中高一貫校」が誕生し、中学受験も以前よりは身近な存在になりました。


東京では4人に1人が中学を受験しているそうですが……4人のうち3人は「中高一貫」ではない普通の公立中学に通っているのですね。
 
そして中学時代に受験勉強をして「高校入試」に挑む。

大学に進学するには、さらに「大学入試」を受けることになります。


推薦入学などは別として、通常「中学 → 高校 → 大学」への受験を避けることはできません。

ですが中学入試だけは「避けて通れる」ものなのです。

    それでもあえて受験するのはなぜか?
小学生といえば、


    「へ? 仕事? 遊ぶことだけど?」
のセリフが違和感なく十分通用してしまう年齢。

本来の仕事時間が減ってしまうのが、もうどうしようもないくらいのデメリットのような気もします。


── ですが「そういうことなら、ちょっと頑張ってみようかな」と思わせるほどのメリットも実際には存在しているのです。


中学受験は本当なら「しなくてもいいもの」。


もちろん「してもいい」なのですが、メリットを受け取るには「デメリット・リスク」を回避できることが最低条件。


まずは「どのような良い面があり、どのようなことに注意すればいいのか」だけは押さえておいてしまいましょう。


中学受験の「メリット・デメリット」について紹介いたします。

それぞれのお子さまが楽しく豊かな学校生活が送れますよう、少しでもそのお手伝いとなれましたら幸いです。



なぜ中学受験をしたいのか

    「高校受験をしなくて済むから」

    「大学進学に有利だから」
多くの方が挙げる理由がこちら。


小学生のお子さまが受験するのは、


  • 私立中学校
  • 私立中高一貫校
  • 公立中高一貫校
  • 国立大附属中学校

のいずれかです。


高校進学時にもう一度受験を経験することにはなりますが、


    ── 地元の中学校が荒れているので、中学時代は「私立」で過ごしてほしいが、高校になったら公立校に通ってほしい

    ── その学校の掲げる教育理念に共感
    (※ 学校ごとの独自の理念に基づいた教育を行えることが私立校の特徴でもあります)
などなどの理由から、地元の公立中学校ではなく、あえて私立中学校を選択することも可能です。


また「国立大附属中学」というのも、少しだけ特殊。


名称に「附属」とありますので、そのままエスカレーター式に大学まで進学できそうなのですが……できません。


内部進学率は極めて低いです。

そもそも併設高校がない「附属校」も多く、その場合には、他の高校を普通に受験。


仮に高校が併設されていたとしても、内申点や試験の結果によっては進学できない場合もありです。


また、附属大学への内部進学枠のある学校はほとんどありません。

附属の大学に入学するには一般入試を受け、合格しないとならないのですね。


そこで「私立・公立中高一貫校」。


こちらの2つは上記の「大学進学に有利」「高校受験がない」どちらもクリアです。


特に私立の場合には大学が併設されていることも多い。

推薦入学制度を利用すれば、国立附属とは違い、そのまま大学に進学することができます。


つまり小学生のうちに頑張って受験を乗り切り 合格してしまえば、もう二度と受験の必要はなし。


    ( ̄▽ ̄)  決めた。中学受験をするのだ!
待てっ!
早すぎです。


ですが、これは本当に大きなメリット。


    ? でも、どうしてわざわざ「中学受験」なのだ? 「高校受験」で「附属高校」を受ければいいではないか。

    そうすれば小学校時代にはみんなと一緒にたくさん遊べるのだぞ                     
                            (。´・ω・)?
あ、ちょっとだけ思慮深いタイプの「顔」が現れた……


もちろんそれもあり。

附属高校に進学できれば(私立)、同様に大学への推薦入学制度を利用することはできます。


ですが、募集人数や偏差値、入試問題の難易度の面からも、高校受験は中学受験に比べ、圧倒的に不利。

中学受験ではパスできた高校も、高校受験では学力レベルが達せず不合格となる可能性が非常に高くなるのです。


とはいうものの、多くの私立中高一貫校の倍率は3倍以上。

人気のある難関校では10倍以上。


決して簡単に合格できるものではありません。


公立の一貫校の人気も上昇中。

公立ですので、中学までの授業料はタダです。


高校卒業までの6年間で考えますと、私立とは比べ物にならないくらいに学費は抑えられます。

だから倍率も高い。

人気校であれば私立の場合と変わらず倍率10倍もザラなのです。


つまり倍率3倍なら受かるのは3人に一人。

10倍なら10人に1人。


相当頑張らなければ、この壁は突破できません。


    (;゚Д゚)  ……公立中学でもいいような気が 猛烈にしてきたのだ
ここは考え方次第。

クラスメイトが遊んでいる時に塾に通い、必死に勉強しても受かるとは限らない。


ですが、前述の「高校受験がない」「大学進学に有利」以外にも、中高一貫校にはメリットがたくさんあるのですね。
(だから倍率が……になるのですが)


まずはメリットを確認しておきましょう。




中高一貫校で得られるメリットとは?

  • 個々の学力にバラつきが少ないため、授業スピードが速い
  • 学校独自の様々なカリキュラムがある
  • 大学受験への準備期間が多くとれる
  • 部活にも6年間集中できる
  • 友だちとも6年間一緒
  • いじめなど、学校内でのトラブルが少ない傾向にある
  • 受験を経験した「やり遂げた感」により、自分に自信がつくことも
  • 同じく受験勉強により、学力・思考力等は確実につく

初めの3つのメリットからもわかります通り、中高一貫校のメリットの多くは、やはり「大学進学」に関するもの。

大学が併設されていない一貫校、もしくは併設された大学以外に行く場合でも、その進学率は高いです。


中高一貫ではない公立中学で過ごす期間は3年間。

高校受験を経て、それぞれの学力に見合う高校へと進学していきます。


一方、一貫校の場合には「中学・高校」を合わせた6年間を一括りとして、学習のカリキュラム等が作られることになります。


公立中学との違いはこんな感じ。


  • 公立中学:「中学3年間で、中学生の学ぶべきことを学ぶ」
  • 一貫校:「中・高で分けるのではなく6年間を一括りとしているため、中学で学ぶべきことを学び終えたら高校生での学習に進むことができる」

そして、こうしたことが可能になるのは、


    「個々の学力にバラつきが少ない」「授業スピードが速い」
みな同じく中学受験を通過してきているからです。


特に私立の場合は、公立一貫校に比べ受験勉強は過酷。

小学校では絶対に習わないような高度なレベルの知識を身につける必要があります。


平均的な学力レベルも高い。


授業のスピードが速くても、問題なく付いてくることができるため、どんどんと進めていくことができます。


中学2,3年生ですでに高校の知識を学び始め、高校2年生、遅くとも高3の初めには高校生として学ぶべきこことはすべて完了。


    ( ̄▽ ̄)  ご褒美タイムなのだ! 高3の1年間は長い長い夏休みなのだ!
── ではなく、大学受験の準備期間です。

残りの1年間では、受験対策など、本格的に大学入試を見据えた授業が行われていきます。


公立一貫校でも、授業の前倒しといいますか、上記のようなスピードある授業を取り入れているところも増えてきました。


が、ここでも私立一貫校の方が強い。

授業時間数が公立に比べ多いからです。
(※ 私立なので指導要領に沿ったカリキュラムを組む必要がありません)


    ( ..)φメモメモ  大学進学に有利なのは「私立中高一貫校」の方なのだ
    有利かもしれないが、授業時間数がたくさんあるのだぞ
    いっぱい勉強しなきゃダメなのだ        
                           (@_@)
    (*´Д`)  あ……

── 早めに終わらせたからこそ、準備の時間がたっぷりとれたと、どうして考えられないのでしょうか……


公立中学に入学した場合を考えてみましょう。


公立中学では、中学3年間を通して、ゆっくりと学習が進められていきます。

一貫校のように「大学受験」を早くから見据えた学習ではなく、基礎力をしっかりつけるための学習。


これは非常に良いことなのです。

受験のための勉強ではなく、社会に出た際に役立つ知識をじっくりと身につけていくことができるからです。


ただし、公立高校を志望する場合、入試は5教科。

全ての教科への理解が大事になってきます。


また私立は英数国の3教科ですが、こちらは学校で教わった範囲を超えた出題もありです。

これらの受験勉強は、学校だけでは追いかないことも多い。


    「中学生としての3年間で、中学生の学ぶべきことを学ぶ」
先ほどのこれ。

余っている時間がないのです。


そのため学校の勉強とは別に受験のための勉強もしなければなりません。

自力か塾か。


大変なのです。

部活も2年生くらいでやめる必要が出てきます。


ですが、この時期一貫校の生徒さんたちは、


  • 受験がないので、部活を続行
  • 受験のためにやりたいことを我慢する必要もなし
  • 海外にある姉妹校にホームステイ
  • 受験に関係のない研究発表などを行う  などなど

下2つは学校によりそれぞれ異なりますが「受験勉強」という一種独特の勉強に縛られることなく、様々なものを学ぶための時間とすることができるのです。


高校受験を境に友だちと学校が別々になってしまうということもありません。

中高一貫校で「一生の友だち」ができたという方も多くいます。


さらに、もしかしたら受験をするお子さまご本人より保護者の方の方が心配しているかもしれない「学校でのトラブル」なども非常に少ない。


特に私立一貫校は「入学したい」と思うお子さまが少なければ、最悪廃校もありえます。

トラブルなどで評判を落としている場合ではないのです。


ですので、いじめを含め学校側の対応も早い。

生徒の面倒見も良く、保護者の意見等を取り入れてくれる学校が多いという傾向にもあります。

(※ 私立の場合、問題を起こした生徒に対し、学校側の判断で停学や退学の処分を下すことも可能)


公立一貫校もここは同じです。

生徒さん自体も小学生で受験を選択した子どもたち。

まじめな子がほとんどです。


そしてみな、学校説明会などを通して校風を知り「この学校に通いたい」と思って頑張ってきた同士。

趣味が似ている、といいますか「ここがいい」のポイントが近い、価値観の似ているお子さまと保護者の方が集まってきていることになります。


また受験には少なからず費用がかかります。

ですので、費用面をクリアできるなど、経済的なことも含め、家庭環境も似ていることが多いのですね。


こうしたことも学校生活の安心感につながるメリットと言えるのかもしれません。


良い面は本当にたくさんあるのです。


    でも、その分高い倍率を超えていかなければならないのだ

    受験勉強も大変そうなのだ……   (*´Д`)
                  
ですので、受験を終えたお子さまには「やり遂げた達成感」「実際の学力アップ」のオマケがつくのです。




そのために必要なこと【受験前】

では続いて、中学受験を乗り越えるために必要なことについて。

言ってしまえば「デメリット」のようなものですね。


メリットを受け取るためには、避けては通れないことのご紹介です。


  • 塾通い必須(特に私立の場合)
  • 習い事などを辞めなければならない
  • 遊ぶ時間がもの凄く減る
  • 睡眠時間も減る
  • 運動不足にもなる
  • 保護者の方のサポートも必須
  • 受験中心の生活を覚悟する必要あり
  • 塾代など、費用がかかる
  • 精神的な強さも必要
  • 不合格の場合にはフォローも必要

前半はお子さまが頑張って乗り越えなければならないこと。

後半は保護者の方のものです。


    「塾通い」
私立中高一貫校を目指すお子さまの多くは4年生までに、公立一貫校の場合でも受験の意思を固めるのはほとんどが5年生までに、です。

ですので、準備もこの頃から。


入試の方法にも私立・公立の違いがありますので、簡単に挙げていきます。


  • 私立一貫校: 教科は国・数・社・理の4教科が中心の教科試験
  • 公立一貫校: 小学校での成績をまとめた報告書と「適性検査」

「適性検査」というのが少し謎ですね。


これは国・数・社・理、それぞれの教科ごとに知識を問われる(教科試験)のではなく、これらを総合した出題がなされることが特徴。


当然4教科の習得度も大事になってきますが、学校で学んだ知識を総動員して論理的に読み解いていく力、そしてそれを上手に表現する力が必要となってきます。


出題されるのは学校で習った範囲に限定されていますので、場合によっては塾なしでも何とかならないこともない。


ですが「公立一貫校を目指すための塾」もたくさんできているため、通っているお子さまとの間に差がついてしまうかもしれません。

効率よく読み解く方法など、塾ならではのノウハウを教えてもらえればなお安心。
(※ 一切の塾通いなしで合格するお子さまもいます)


日ごろからニュースを見る、新聞を読む、など今世の中では何が起きているのか、といったことに関心を持ち、それに対する自分の意見、なぜそう思うのか等を表現できるよう、練習しておくことも大事です。

言葉だけでなく、文章にもできるようにしておいてください。

適性検査には「作文」も含まれます。


また「小学校での成績をまとめた報告書」にも重点が置かれています。

上記の4教科だけでなく、音楽や体育、図工などすべての教科の他、学校の生活態度なども対象。


大変ですが、頑張ってみてください。


私立の場合では、ガラリと変わります。

入試方法は上記の通り4教科中心の教科試験。


が、今年(2018年)の入試に「英語」(※ 選択になります)を教科として加えてきた中学校は首都圏で112校。

そのうちの111校が私立校(一貫校でない中学も含む)です。


来年実施する入試から英語(選択)を加えることを「慶應義塾湘南藤沢中等部」も公表しています。

人気のある学校ですので、今後ますます英語を入試教科として取り入れるところも増えてくるはず。


また、英語がない場合でも、4教科の出題難易度は半端なレベルではありません。

先ほど、


    「募集人数や偏差値、入試問題の難易度の面からも中学受験の方が高校受験より有利」

と書いたのは本当なのですが、出題範囲が問題なのです。

学校での学習レベルをはるかに超えた難問が出題されます。


学校の指導要領に沿った学習では絶対に身につかない学力が求められることになるのです。

高校受験は、基準とされる偏差値などもあるため難易度も上がりますが、出題範囲は学校で習ったこと。

中学入試で出題されるのは習っていないことです。


    (;゚Д゚)  !! 間違いなく解けないのだ!!    (。-`ω-)
はい。
いくら学校の成績が良くても、私立入試にはそれだけでは太刀打ちできません。


だから「塾通い」が必須。

早いご家庭では小学3年生ぐらいから塾に通わせていることもあるかと思いますが、高学年になってくるとその日数も増えてきます。

小6ならほぼ毎日です。


ですので、


    「習い事などを辞めなければならない」

    「遊ぶ時間がもの凄く減る」

    「睡眠時間も減る」

    「運動不足にもなる」
なのですね。


さて、そんなお子さまの過酷ともいえる状況には保護者の方のサポートも不可欠となってきます。


わかりやすいのが、いわゆる「塾弁」。

塾で食べるためのお弁当が必要。

6年生ならほぼ毎日。


逆に考えれば、お子さまの方も晩ご飯を食べる時間を挟み、まだ塾での勉強は続くわけです。


仮に「塾弁」が必要のない場合でも、帰宅後にご飯。

帰宅時間的には、ほとんど「お父さん」です。

睡眠不足にもなります。


    「受験中心の生活を覚悟」
これがないとムリ。

塾弁・塾の送り迎えをはじめ「学校見学」や「説明会」にも足を運ぶ必要が出てきます。


前述の通り、公立・私立ともに一貫校では学校ごとの特色があります。

私立の場合には「なぜ設立したのか」といった理念や教育方針も。


それを見極めることも非常に大切です。


先ほどメリットの部分でも挙げさせていただきましたが、ここをおろそかにしてしまいますと、


    価値観などが似て「いない」
学校に6年間通う、もしくは通わせることになってしまいます。


塾弁や説明会以外にも、睡眠時間等、生活面に対しての管理、塾からのプリントの管理、勉強のフォローなどなど、保護者の方のすべきことも増えていきます。


ですが、親子一丸となって何かに取り組む、という経験は(大変ですが)なかなかできることではありません。


見方によってはここはメリットなのかもしれません。


ですが、相手は子ども。

小学生です。

強い意志を持って受験に望むお子さまもいますが、


    ( ̄▽ ̄)  一日くらい休憩させてくれたまえ
    たまには朝から晩までゴロゴロしていたいのだ
……わからないでもないのですが、


    「塾代などの費用」
相当の金額がかかるのです。

特に私立を目指す場合、公立一貫校に比べ2倍以上高い。


月平均で6万円強です。

「月」に6万越え(あまりの高さに2度書いてしまいました)。

ちょっとした家賃です。


    ── それなのにお子さまがだらけている……
喧嘩になることもあるかと思います。結構な高確率で。


それでもサポートし続けるための意思を維持してください。


ですが受験に向いていないお子さまもいます。

受験はいつか経験せざるを得ないもの。


ここでもう一度「なぜ今でなければいけないのか」、です。


この子には向いていない、と思ったらスッパリと諦める、またお子さまにもそれを納得してもらう潔さも大事。


「高校受験がない」「大学進学に有利」などは実際に得られるメリットですが、小学生の時点で、そこに本気で魅力を感じ「中学受験をしたい!」と言い出すお子さまは非常に稀です。


お子さまの将来を思い、より良い環境の中で学生生活を送って欲しいと願うのが親心。

お子さまはそこを敏感に感じ「なら、中学受験する!」という気持ちになっている場合も多いです。


中学ではなく「高校受験」に視点をシフトするタイミングも見極めなければお子さまが苦しむことにもなってしまいます。


ですので「サポートし続ける」ため、「お子さまに受験は向いていないと思ったら潔く諦める」ための、


    「精神力も必要」
となるのです。


そして最後に、あまり考えたくはないのですが、倍率の高さ。

受験したからと言って必ず合格できるわけではありません。


    「不合格時のフォロー」
これまでの「必要なこと」が表面的にはすべてムダになることになります。

塾弁も、暗記に付き合った時間も、足しげく通った説明会への時間も……


ですが、ムダになったのは「表面的」にだけです。

仮に不合格となってしまった場合でも、これまでにやってきた勉強や、友だちが遊んでいる時にも頑張ってきた経験はお子さま本人にとって、必ずいつか役に立ってくれます。

必死になっていたからこそ、本音をぶつけ合って喧嘩をしたことも。

それでも一番傷ついているのはお子さまです。

下手をすると、取り返しがつかないほどに落ち込んでしまうことも考えられます。


ですのでその際のフォローに自信がない場合には受験自体をおススメできません。


そして「中学受験は本来しなくてもいいもの」ということもお忘れなく。

しなくてもいいもののために、必死で頑張ったことは結果よりも評価すべきことなのです。


また、先ほどの「精神力」にも通じるデメリットでもあるのですが、


    「保護者の方がお子さまを通り越して必死になりすぎてしまう」
「誰のための受験なのか」を見失ってしまうこともありえます。


同じ受験組のお母さまの存在は大変心強くもあるのですが、その分ライバル心も芽生えてくるもの。


「うちの子が落ちたら恥ずかしい」のように思えてきてしまう。

中学受験に失敗して落ち込んでいるお子さまに対し「あんたはダメな子」レベルの暴言を浴びせてしまったり、特殊なケースかとは思いますが、


    「遠くの全寮制の中学に入学させた」
といった例さえもあるのです。

その全寮制中学がお子さまにとって価値のある学校だったからではなく、大事だったのは保護者の方のプライド。


公立中学に入学させると受験し失敗したことがバレてしまうからです。

それが恥ずかしいから子どもを遠くに追いやることで、自分のプライドを保とうとしたのですね。


これはお互いにとって悲惨。

しかも相手は弱冠12歳のお子さまです。


ここまで「モロに」ではなくても、こうした本末転倒的な受験デメリットというものも実際にある。


まだ小さなお子さまの選択肢に「中学受験」という「レール」の可能性を示すことは良いことだと思います。

ですが、お子さまが望まない限り、そのレールを勝手に敷いてしまってはダメ。


お子さまとご両親とで、


    「どうして受験の時期を今にするのか」
について、真剣に話し合われることは本当に大事なのです。




中学受験のデメリット(リスク)【入学後】

    ( ̄▽ ̄)  受かったのだ!! 赤飯の準備はできているか?
    赤飯ではなく炊き込みご飯(松茸入り)を頼む    (=゚ω゚)ノ 
……コンビニのお赤飯おにぎりと「松茸風味のお吸い物」なら買ってきてやらないこともない……


試験の合否に関わらず、とにかく「中学受験」という挑戦を終えたことをまずは褒めてあげてください。


ですが「見事合格!」の場合でも、まだまだ油断できないリスクがついてまわるのが中学受験。

いくつかある入学後のデメリットも確認しておきましょう。


 ■ 授業についていけない

1つ目のパターンは「ギリギリで合格」「まさかの合格」。

中学受験をしているのは小学生です。

精神的にもまだまだ幼い年齢のため、合格できる学力を持ったお子さまでも十分実力を発揮できないこともあります。

そうした場合は残念ながら不合格となってしまうのですが、そのことで繰り上がって合格するお子さまも出てくるのです。


みな頑張っていたことに変わりはありません。

が、実力にはやはり差がある。

入学の時点で学力に差があった場合がパターン①。


似たような例として、いわゆる「燃え尽き症候群」というパターンもあります。

受験勉強にすべてを注ぎ、やっと終わった~! の安堵とともにすべてのやる気が消滅してしまう。

これがその②。


また、一貫校のメリットでもある「授業スピードが速い」。

ついていくことができれば問題はないのですが、中学の勉強は小学校の時に比べ レベルも高く量も多くなります。

苦手な教科ができてしまうことも。


それでも授業はスピードを落とすことなくどんどんと進んでいきます。

そのうち、さっぱりわからなくなる。


テストの成績も下がります。

ですが何とか頑張ろうと思っても、すでにもう ちょっとやそっとの努力では追いつけないところまで授業は進んでいるのです。


そして勉強に対するモチベーションも下がり、ついには勉強自体が嫌いになる。

もしくは、そんな自分に自信が持てなくなってしまう。

メリットがデメリットに変わってしまうのがパターン③です。



公立中学に進学した場合には受験を経験するのは中3。

中学の3年間の学習で自分の実力や将来の進路・夢もある程度固まってきている時期です。

そしてそれを基準に「志望高校」を選び、受験する。

これが「高校受験」。


中学受験では、この部分が曖昧なまま志望校を目指すことになります。


合格すれば高校受験はなし。

今後の進路について考える機会もなし。


つまり10歳前後で、少なくとも高校までの進路を決定してしまうことになるのです。


よく考えますと、それもちょっとおかしな話なのですね。


一貫校に通っていても、進路変更などで再度外部の高校を受験することは可能。

実際にそうする生徒さんも少なからずいます。


    「高校受験がない」
これも見方を変えればデメリットになるのです。


勉強

 ■ 校風や学校の友だちと合わないことも

    第一志望に落ちて第二志望の学校に通う。

    思っていた校風と違う。

    いじめられているわけではないが、お友だちとの関係がうまく築けない。
などなど、一貫校の場合には、この状態でも6年間です。

公立中学のように「高校受験」を境にリセットすることができません。


どうしても我慢できなければ一旦退学して地元の中学校に入り直すこともできます。

また前述の通り、高校受験時に違う高校を選択するのもあり。


あんなに中学受験を頑張ったのに……との気持ちからなかなか踏ん切りのつかないこともあるかと思いますが、6年間我慢し続けるのはかなりキツいです。


恵まれた教育環境の中で充実した6年間を過ごし、一生の友だちができることも多いのですが、こうしたリスクもゼロではありません。

スパッと気持ちを切り替えることも大事です。


 ■ 進学できないこともある!

推薦入学制度があっても油断は禁物です。


志望する学部に希望者が多い場合、優先順位が高いのは成績上位者。

「高校受験がないから部活に打ち込める!」は大きなメリットなのですが、バランスが大事。


勉強を後回しにしていると、大学進学時に痛い目に……


内部進学枠は上位者で占められ、希望する学部に行けない、または夜間部しか残っていない、ということもあり。

それがイヤなら外部の大学を受験です。


これはデメリットというよりはせっかくのメリットを活かしきれない、といったもの。

高校受験がないため、気が緩んでしまうケースです。


 ■ 大学の先! 社会に出てからのデメリット(もなくはない)

中高一貫校の最終的な目的は「大学進学」です。


ですので、大学受験に向けての学習面では強い。


ただし、本来高校受験では必要とされる理科・社会の知識はそれほど重要視されないのですね。

高校受験がなく、大学受験にも一般的には必要とされない教科だからです。


ですが、理科・社会も大事。

むしろ社会に出てから必要となる重要な知識だったりもします。


この一般常識が身につかない。

でも大学受験はパスできる。


ここも微妙なのです。


また、一貫校では家庭環境や価値観などの似ている生徒さんが集まりやすい傾向にあります。

そして受験を通過した学力レベルの高いお子さまです。


だからこそ「学級崩壊」など考えられない穏やかな学校生活が過ごせるわけなのですが、社会はそこまで緩くありません。

社会を作っているのは、様々な家庭環境で育った、様々な価値観を持った人たち。


一貫校で過ごした6年間というのはどちらかというと「特殊」な時間です。

公立中学に通うのは、上記社会を形成しているのと同じく、様々なカラーを持ったお子さまたち。

学校生活を通じて、自分とは違った考えを持つ友だちと接していくことができます。

いわばミニチュア社会のようなもの。

その中で色々な角度から物を見る力が養われていくのですね。


一貫校では、それが難しい。


だから社会に出てから失敗する、ということではないのですが、社会に接するスタートは少し遅れてしまうのです。


    良い面・あまり良くない面……どっちを取ればいいのだ……                      (。-`ω-)

    (*´з`)  とりあえず松茸(のお吸い物)を飲むのだ!

    受験することに決めたなら、メリットがデメリットにならないように頑張ればいいだけなのだ

……サラッと言っていますが、それが案外難しい……


では、最後におさらいです。

中学受験の「メリット・デメリット」を簡単にまとめてしまいましょう。




中学受験はするべき? メリット・デメリットのまとめ

    中学受験のメリット(中高一貫校の場合)

  • 大学進学に有利
  • 高校受験がない
  • 生徒の学力レベルにバラつきがない
    (そしてレベルも高い)
  • そのため授業スピードが速い
  • 通常6年間かけて学ぶ教育課程を5年間で終了させ、残りの1年間を大学受験の準備期間に充てることができる
  • 高校受験がないため、6年間部活などにも集中できる
  • 留学制度などを取り入れている学校も多い
    (特に私立)
  • 友だちとも6年間一緒
  • いじめなど、学校でのトラブルが少ない

  • 受験を経験したことによる達成感から自分に自信がつく
  • 学力・思考力もつく
  • 親子が一丸となって一つのことに取り組むいい機会になる


  • デメリット

  • 塾通いが大変
  • 遊んでいる暇がない
  • 習い事も辞めなければならない
  • 睡眠・運動の時間が減る
  • 私立の場合、学校では習わないような難しい勉強もしなければならない

  • 保護者の方はサポートが本当に大変
  • 受験中心の生活になる
  • 塾代等、費用がかかる
  • 精神面での強さも必要
  • 不合格の際のフォローは必須

  • 入学後

  • 授業についていけないこともある
    (勉強嫌いに)
  • 高校受験がないため、自分の実力や進路を決定するのが「小学生」の時になること
  • 校風や友だちと馴染めなくても基本的に6年間は同じ学校で過ごすことになる
  • 推薦制度があっても、成績によっては大学に進学できないことも
  • 特に私立校の場合、友だち付き合いにもお金がかかる
    (比較的裕福な家庭のお子さまが多いから)
  • 大学受験を視野に入れた学習となるため、必要のない理科や社会の一般常識に疎くなることも
  • 経済力も含め、同じ環境、似た価値観のお子さまが集まりやすいため、自分とは違う考えや家庭環境で育った友だちと接することができない
    (視野が狭くなる)
  • 通学に時間がかかる
    (大抵通勤ラッシュと被ります)
  • 地元の友だちとのつながりが薄くなる

お子さまと保護者の方の意見がどちらも「受験する」に固まっていて、経済的なことも含めサポート体制が万全、またその覚悟がある場合には受験もあり。

ですが、保護者の方の気持ちが強く、少しでもお子さまに押し付けている部分があるのであれば、おススメはできません。


また、ご夫婦の教育に対する考え方が一致していない場合は、途中で無理が生じてくることがほとんど。


高校受験という手もあります。

それまでに十分な学力を身につけておけば難関大学の附属高校も問題なく狙えるはず。


まずは「なぜ受験したいのか」をお子さまにしっかりと確認です。

その上で、ご家族みんなで話し合い「する」と決めたのであれば全力でサポートを。

公立中学を選択した場合には、早めの準備で3年後の高校受験を乗り切りましょう。




終わりに……

結局はどこで受験をするか、です。


    ── 早めに終わらせてしまえば、その分後が楽。

    でもそのためには小さいうちから一生懸命受験勉強をしなければならない。


    ── どうせなら「メリット」が多い時期を選択したい。

    でもそのメリットも考え方次第で「デメリット」にもなる。

……う~ん。


    (`・ω・´)   個人的にはどう思っているのだ?
「中学受験はしなくてもいい」です。

「しなくていい」ではなく「しなくても」いい。


    答えになっていないのだ!        (。-`ω-)
答えはご家庭ごとにそれぞれ違うのだ!


先ほど書きました通り、向いていないお子さまもいます。

また、中学受験で一貫校に入れたとしても、誰もが充実した学生生活を送れるとは限りません。


ですが、


  • 向いていない子にはムリをさせない
  • 保護者の方もアツくなりすぎない
  • 失敗した時のフォローも完璧にする
などに注意し、お子さまの「受験したい」に添える環境が整っているのであれば、受験も挑戦する価値のあるものになるのではないか、とは思っています。




── 今回も長くなってしまいました。

結論は出せないのですが、「中学受験にはこんなメリット・デメリットがあります」の部分だけでもお伝えできていればうれしいです。


中学受験でも高校受験でも、実力が発揮できますよう応援しています。


最後までおつき合いいただき、本当にありがとうございました。


LINEで送る
Pocket