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僕の将来の夢は「公務員になること」です。

充実した手当や、なってしまえばそれほど努力をしなくても年功序列でお給料も上がっていくところとか、倒産とかもないし、定時で帰れるし、手当も厚いし、楽そうだし ──

夢みたいな仕事だと思っています!
だから僕は大きくなったら公務員になりたいです!!



……少年よ……


組合
── さてさて「公務員」です。


自分の子供だったら、と考えると空恐ろしく感じてしまう冒頭の少年の言っていることは、ある意味あっていて、その部分以外は単なるイメージでしかないもの。


案外誤解の多い職業なのですね。


「公務員」さんにも「メリット・デメリット」は当然存在しています。


口さがない人や景気の状況などにより、


「この税金泥棒め!!!」


などとの中傷を受けることも多い公務員さん事情。


この辺でいったん、


「これらの意見は正しいのか」

について知っておいてしまいましょう。


    公務員になった場合のメリット・デメリット。

    公務員からの転職、反対に公務員への転職。

    はたまた公務員と労働組合との関係。

    ── なぜ労組が公共のために働く公務員にもあるのか。



などなど。

一緒に検証です。


まずは「公務員」って何? から。

冒頭の小学生っぽいコの言っていることが本当なのか、見ていきましょう。



「公務員」ってどんな仕事?

いろいろなお仕事があります。


区役所(市役所)で働く職員さんもいれば公立校の先生もそう。

警察官や消防士、入国警備官、自衛官、さらには国会議員や大臣、裁判官なども皆さん公務員です。


中でも国に関する仕事担当の公務員が「国家公務員」。

区役所や町役場等、地域の住民の生活に直接関わる仕事をしているのが「地方公務員」と大きく分けられます。


ですので、おそらく皆さまが日々の生活で身近に接している方たちは地方公務員の方かと思います。

国家公務員の方々は国会や裁判所、中央省庁などで働いているため、ちょっと遠い存在ですね。


さて、「国会議員」や「警察官」といったところでピンときた方も多いかと思いますが、公務員さんの賃金は、基本的に国民の税金から支払われます。
(国家公務員でも地方公務員でも)

なぜなら憲法で、


「すべて公務員は全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」


と定められているからなのですね。


── さすがに法律に書かれている文言だけあって、何を言っているのかイマイチわかりにくいのですが、簡単に言いますと、


「国民みんなのために働く人たち」


ということ。

国民みんなが雇い主のようなものだからです。


仕事をしていく上での目的とされるのは組織としての利益ではなく、国民や地域住民へ提供するサービスの向上。
(※ このニュアンスはどちらかというと地方公務員の場合。国家公務員は「国に対して」が主)。



消防士さんが火事を消し止めてくれるのは、そうすることが、その消防署などの儲けにからではなく、困っている住民を助けるため。


悪い人1人捕まえたら○○円、今月のノルマは最低でも6人以上の逮捕! などの歩合制ではないのにせっせと悪人逮捕に努めてくれているのは警察官が公務員だからです。


先生も、教え子の皆さんが立派に、幸せになってくれることに心血を注ぎ、有名校にたくさん合格させることで給料が上がる、ということもない。


区役所の職員さんも、然り。

その月の地域住民の婚姻届けがいくら離婚届を上回る受理率となっても、怒られることも褒められることもありません。


ですが、国会中継などで明らかに眠っているとしか思えない、静止画像的なリアル映像が流れたり、例えば以前大問題になった社会保険庁の年金記録漏れ等のネガティブイメージにより、


「公務員は怠慢である」


とされる風潮もあります。


……う~ん。
確かに、公務員が不祥事を起こすと、民間企業の場合より風当たりは酷くヒドい。

税金が使われているからなのか、民間とは違い何かと優遇されている印象があるからなのか……


── それでも将来ご自分のお子さまに就いてほしい職業の上位に常に位置している「公務員」。


そのメリットとされている部分。

それがあってもデメリットだと考えられていることについて、続いて見ていきます。




「メリット・デメリット」とされているもの

    最大のメリットとされているもの

    ・安定性

    最大のデメリットとされているもの

    ・退屈そう……

もう、これです。

言っていることは真逆ですが、指している内容は同じ。


メリットであるはずの「安定性」は人によっては、単なる「退屈」と感じられてしまうのですね。


国家公務員は少し話が変わってきますので、地方公務員で考えていきましょう。


実際公務員は民間企業に比べれば格段に安定しています。

リストラや倒産とはほぼ無縁。


利益を追求する仕事ではないため、そこに関する必死さは要求されません。

基本的には、前年度からの仕事を引き継ぎ、それを滞りなく遂行していくことが主な業務内容になるからです。


民間企業のように、新しい企画を考案したり顧客を増やしたりするのではなく「今まで通りをちゃんと流していく」のような毎日であることは本当。


退屈といえば退屈ですが、慣れるまではこれも大変です。

この時期には(入庁後数年)、割とモチベーションも保て、ご自身へ1UPを実感できるかと思います。

ですが、いずれ毎日の業務がすべてルーティーンワークとなってしまうのはキツい。


さらに、


「仕事にやりがいが感じられない」


というデメリットも挙げられています。


前述の通り、公務員の行う業務というのは「利益の追求」ではないため、仕事で成果を上げたとしても評価につながらない、という意見です。


売り上げ目標を達成した、や、顧客が増え結果的に会社に貢献した、などのわかりやすさがないのですね。

民間企業であれば、この業績が給与アップに影響してくることにもなるのですが、公務員の行う業務では、何か新しいことを企画する、などといった機会が基本的にないのです。


例えば窓口業務を担当している方が、地域住民から「あの人は感じがいい」と褒められ、それが噂として上司の耳に入っても褒められるくらいです。

それが給料アップに直結することはない。


だから「やりがいが……」と感じてしまう。


その代わりに公務員の給与には、ほぼ一年単位で少しずつですが上がっていくシステムが取られています。


ですので「給与面でも安定」。

ただし、自分の実力や努力によるものではない昇給なので「やりがいがないと感じる」。


どちらが正しいというより、これらをメリットと捉えるか、デメリットと感じるか、価値観により変わってくる点です。



── さて、このように「安定しているけど、退屈でやりがいもなさそう」と思われていた公務員の仕事ですが、実は今やそれほど楽なものではなくなってきています。

ですので、


「定時で帰れる」

「たまに残業もあるが、その分はしっかり給料に反映される」

「労働条件がいい」



これらに関してもそう。

仕事が残っていれば帰れません。

場合によっては休日出勤もありです。


あらかじめ予算は決められているので、残業した分をすべてキッチリ支払うというのにも無理が出てきます。

サービス残業もあり。

給料カットもあり。


安定した収入や労働条件に対してのイメージは、徐々にイメージでしかないものになりつつあるのです。

民間企業で働く皆さんより激務をこなしている公務員さんも増えてきています。


「楽に働ける」=「労働条件がいい」


という意味であるなら、それについては最近では「それほどでも」なのですね。

その分やりがいも見出せるようになってきていると思います。


さてさて、公務員でも「それほど楽には働けない」という状況になってきてはいますが、女性の産休・育休・職場復帰の流れについては非常にいいです。

民間企業ですと、結婚イコール「寿退社」のような風潮が暗黙のうちにあり、仮にこの時点では退職しなくても出産となると復帰が難しいのが、残念ながら現実なのですね。


でも公務員では民間企業に比べ、ここへの待遇が手厚い。


小学校などで女性の先生が産休でお休みに入り、その間臨時の先生に教えてもらっていた、などのご経験はありませんか?

あれです。

国公立であれば先生も公務員。

こういうことが先生でなくても、普通にできるのが公務員のいいところでもあります。


これも「安定」の一つですね。

食いっぱぐれがない。


以下にその他の「メリット・デメリット」とされている部分を挙げていきます。


    その他のメリット

  • 退職金・ボーナスが民間企業に比べ多い
  • 様々な手当てが受けられる
  • 地方公務員では転勤が少ない(あっても出向程度)
  • 聞こえがいい(世間の信用度が高い)
  • そのため住宅ローンなどを組む際に有利

  • その他のデメリット

  • 世間の動向によっては肩身の狭い思いをすることがある
  • 将来的には大企業に勤めている同期に比べ年収が低くなる
    (それでも少ないわけではあません。あくまで「大企業」と比較すると)
  • 課長以上を目指すには昇級試験をパスする必要あり
  • 転職時の評価が低い

  • どちらにもなる点

  • 人間関係が独特

民間企業にも様々な職種があるように、公務員でも色々な部署があるため一概には言えないのですが、一応このようになっています。


デメリットの最後、

  • 転職時の評価が低い


聞き捨てならないことが挙げられていますね……


では続いて「転職」について。

こちらもチラッと見ていきましょう。




公務員の転職事情はこちら!

  • 公務員から民間企業へ
  • 民間企業から公務員へ

公務員にまつわる転職は大きく分けてこちらの2つ。

(※ 公務員から別の公務員へ《地方から国家 / 国家から地方》もあるのですが、今回は代表的な上記2つのご紹介とさせていただきます)


順にいってみましょう。

公務員から民間企業へ

──「転職時の評価が低い」


とされているのは「公務員から民間企業へ」のパターン。


ですが、これはある程度仕方がないのです。


前述の通り公務員の業務では「利益の追求」は必要とされません。

一方民間企業は「利益を追求」していく組織。


仕事内容がまるで違ってきます。

ですので「公務員から民間企業へ転職」の際、今までの仕事内容が評価の対象にならず、結果低くなる。


実際公務員の離職率も民間企業全般と比べ非常に低いです。


それでも転職したい方も、転職を果たした方もいる……


その多くを占めている理由が、


  • 退屈でも楽でもなかった
  • 人間関係に疲れた
  • 地域住民からのクレームが理不尽すぎる
  • 大企業に就職した同期に完全に給料面で負けている
  • 達成すべき目標が地味
  • 仕事を頑張っても評価されにくい

このような感じになっています。

先ほどのメリット・デメリットと被っているものが多い。


やはり「公務員は楽」というイメージは強いのです。


ですが前述の通り、現在公務員の仕事はそれほど楽ではなくなってきています。

職場にもよりますが、ここが以前とはかなり違ってきている部分。


行政改革が行われる度に、と言ってもいいほど、人員・給与の削減も行われているのですね。

公務員の基本業務は前年度の仕事内容の踏襲です。


つまり、少なくなった人数でも、これまで通りの仕事量はこなしていかなくてはならない。

だから激務。


そして激務にも関わらず「給与の削減」。


── これはちょっとやってられない……


ということなのだと思うのですが、転職は慎重に、です。

民間企業は普通に激務であることがほとんど。


ここが公務員を辞めたい一番の理由であるなら、転職先には比較的のんびりとした社風の企業や組織的に似たような体制のところ等を選ばない限り、同じことが繰り返される可能性が高くなります。


他の理由に関しても同じです。


例えば「公務員」=「楽」というイメージによる理不尽なクレームは受けなくなっても(公務員でなくなったから)、また違った悩みが出てくるかも。


業績次第で給与が変動していくのが一般的な企業です。

必死で頑張らなければ、給料も上がらず、最悪リストラ対象になることも。


人間関係 ── これは確かにちょっと独特です。


全体数からしても公務員の数は民間企業で働く方たちより少なく、利益を追求しない業務もマイノリティに属します。

いい・悪い、の話ではないのですが、世間とのズレも少なからず生じてくるのですね。

そこに長く身を置いていれば、普通に考えてもその「ズレ」が公務員さんの「当たり前」になるのは当然です。


だからなのかどうかははっきりしませんが変わった人が多い、というのはよく言われている話(職場にもよると思います)。


しかも地方公務員の場合、メリットとしても挙げられていたように転勤がほとんどありません。

あっても出張所に出向くらい。


職場の雰囲気になじめれば問題ないのですが、合わないとかなり辛いデメリットとなる部分かもしれません。


また、大都市ではあまり考えられないことかもしれませんが、人口のそれほど多くない地域では、役所の窓口にいる職員さんなどはちょっとした有名人になってしまうのです。

プライベートでのそこそこどうでもいいような行動まで、あっという間に広まってしまう、ということも。

小学生の時など、学校帰りの買い食いがなぜか親にバレていて、その日はオヤツ抜きになった、などといったご経験のある方もいるかと思いますが、あんな感じです。

地元住民の方の口コミネットワークは侮れないそうです。


── と、いろいろありますが、まずは慎重に本当に転職すべきかを検討。

それでも「転職する!」と決めたのなら、行動は早めに、です。


「公務員試験」をパスした、という実績は若い方ほど評価されます。

公務員経験を長く積むほど「お役所的な仕事しかしてこなかった人」というイメージの方が強くなってしまうのですね。


40歳を超えての中途採用枠では、大半の企業が「管理職の経験者」に的を絞ってきます。

前述の通り「利益の追求」の必要のない公務員の業務では、たとえ管理職経験があっても、そこは「経験」とされないのです。


ですので、転職は慎重に。

転職先の社風などについても、しっかりご検討ください。


民間企業から公務員に

まずは「公務員試験」に合格することが前提ですが、


「公務員は楽だから」


が転職理由であった場合、見事にその期待が裏切られる可能性が高いことは前述の通りです。

公務員の方が民間企業に転職したい、と思った先ほどのいくつかの理由が、転職先に待ち受けていることになります。

(※ 何度も言ってしまい恐縮ですが、すべての職場で、ではないです。ですが、公務員は基本的にローテーションで部署が変わっていくため、永遠に忙しい部署に当たらない、という可能性はゼロに近いほど低いです)


── 転職を決めた場合、年齢によって採用試験にも違いが出てきますので、以下、簡単にご紹介です。


    ① 30歳まで限定 (新卒で公務員となり、2.3年の経験後に民間企業に転職するケース)

  • 受けるのは「大学卒業程度」の「一般枠」
    (新卒者のみ限定している試験は公務員ではありません。よって、経歴は問われません)
  • 「30歳まで」を上限としている試験が大半ですが、まれに「35歳まで」もしくは「上限なし」の自治体もあり
  • 教養試験の他、専門試験も課している自治体がほとんど
  • 自治体同士の試験日が被るため、併願はほぼできない

  • ② 30歳以上限定(中途採用で民間から公務員へ、で最も多いケース)

  • 受けるのは「社会人経験者採用試験」
  • 年齢の上限は59歳(定年の前年)としている自治体が多くなってきていますが「市役所」の場合、35歳や40歳に設定されていることが多いので、ここは事前にチェックを
  • 一般的には民間企業での勤務年数が必要条件(多くの場合5年以上の勤務)
  • 教養試験のみであることが多い
  • 試験日に被りが少ないため併願可
  • △ただし、倍率は「大卒一般枠(30歳まで限定)」のものよりかなり高い

    △最近増加傾向にあるものの、実施していない都道府県・政令指定都市もあり

(※ 上記のものは「地方公務員」に対してのものになります。
他、「20代から受験可能で、しかも地域も限定的(東京特別区等)」もマイナーですが存在しています)




労働組合には入るべき?

さてさて、これですね。

意見が過激なまでに分かれている「労働組合問題」。

厳密には公務員では「職員団体」となります。

「労働組合風」のものは作れますが労働組合法は適用されない決まりになっている。


「労働組合(職員団体)には入るべき?」


に関しては、決して私がビビりだからではなく、答え的なものを強制する問題ではないと思いますのでどちらとも言ないのです ──


が、


    なぜ労働組合法が適用されないのか。

    「職員団体」の役割とは何か。

などなど、そもそも公務員とは何? について個人的な意見抜きに(少なくともそう努力します)書かせていただきます。

賛否両論のある微妙な問題・課題でもありますので「自分はそう思わない」などのご意見もあると思いますが、解釈の一つとお考えいただき、ご加入するか否かは、ご自身の判断を優先していただければと思います。


前置きが長くなりましたが、ではでは「労働組合問題」に行ってみましょう。



    「警察官がスト! 地に落ちた日本の治安!!」

    「連鎖する消防士の争議行為! 火に囲まれるアツすぎる日々!」

    「自衛官が集団ボイコット!? 行き場を失った被災地への救済!」

書いているだけで、ソワソワしてきます。

背徳感が異常……


これは困ります。

非常に、を通り越して尋常ではないほどに困る……


というわけで、警察や消防、または海上保安庁職員、監獄職員、入国警備官、そして国会議員(そもそも彼らは雇用契約で働いているわけではないので)などに関しては「労働三権」と呼ばれる、そのすべてが適用外とされています。


そのおかげで、上記のようなとんでもない事態は起こらないようになっているのですね。


    「労働三権」

  • 団結権
  • 団結交渉権
  • 団体行動権(争議権)

……何のことだかさっぱりわかりません……


働く人たちには、自分たちの経済地位を向上させるための団体を作ることが法律で保障されています。

これが「団結権」。


団体を作るだけでは何も話が進まないので、この団体の代表者が使用者、つまり一般企業でしたら社長や代表者、事業経営の担当者などと労働条件について「ここをこうしてほしい!」等の交渉することも認められている。

これが「団体交渉権」です。


ですが、経営サイドも「そんな要求は飲めん!!」となる場合もある。

そこで「団体行動権(争議権)」です。


労働者がその主張を曲げず最後まで貫き通すため、ストライキ(や、これに類する行為が「争議行為」)などを起こす。

仕事をしない、ということは、つまりは使用者の業務の運営を阻害するということ。

使用者へ、経済的な圧力をかけるのですね。


こう書きますと「労働者、ヒドい……強引すぎる……」のように感じるかもしれませんが、そもそも労働者一人ひとりの立場というのは物凄く弱いのです。


「そのネクタイのセンスはどうなんだね、君。もう、いいよ、明日から来なくて」

「これから一週間はぶっ続けで18時間労働を頼む。イヤならやめてよし!」(あくまでたとえ)



対抗する手段がなければ、労働条件がボロボロのまま、それでも生活のため働かざるを得ないことに。


ですので、その地位・労働条件・生活を向上させ守るため、法律によって、


  • そのための団体を作って良し(団結権)
  • 団体の代表は経営陣と交渉して良し(団体交渉権)
  • 交渉の如何によってはストライキなどを対抗手段としてとっても良し(団体行動権)

のように保障がなされているわけです。


そしてこれら労働三権のすべてが権利として認められていない警察や消防、または海上保安庁職員、監獄職員、入国警備官、国会議員などについては、


  • 組合作っちゃダメ
  • 組合として働いている人の生活を守るために、労働条件などをトップと掛け合ってはダメ
  • 労働条件などを巡って、トップと争う手段にストライキなど、組合の団結力にものを言わせての行為をしてはダメ

物凄くかみ砕いていますが、このような感じになっています。


何と言いますか ── 申し訳ない気もしますが、ぜひそうして欲しい。

110や119、自衛隊に直に繋がる番号は知りませんが、何かあった時によろしく頼める状況にあって欲しいです。


ですが、このように労働三権がすべてはく奪されているのは、公務員のうち上記一部のみ。


他の公務員では「団体を作ること」は権利として認められているのです。


その団体が民間企業では「労働組合」、公務員では「職員団体」と名称を変えます。

違っているのは団体の名称だけでなく、「労働三権」についても一部に制約が設けられていること。


「すべて公務員は全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」

「国民みんなのために働く人たち」



=「公務員」だからですね。


さて、ここからちょっとだけややこしくなってくるのですが、先ほどの「使用者」です。

民間企業ですと、社長や代表者、経営担当者などその企業の中で完結しています。

が、公務員では……ごちゃごちゃしている上に、間にたくさんいるのです。


国家公務員は国の運営にかかわる仕事をしているので、その使用者は内閣、ということになります。

他方、地域の住民の生活に直接かかわる仕事をしている地方公務員は「地方公共団体」の職員。


地方公共団体というのは、


「その地域の政治・行政の機能を持つことを憲法により認められている、一定地域の住民を構成員とした団体」


のこと。

つまり「使用者」は地方公共団体です。


ですので勤務条件や予算などを決めるのも国会(国家公務員の場合)や地方議会(地方公務員)なのですね。


そして、国会や地方議会の長に対し中立的な立場で給与や勤務条件の改善などに関しての勧告を行い、最終的な決定に係わってくるのが、


「人事院(国家公務員)」
「人事委員会 / 公平委員会(地方公務員)」



という人事行政機関。


仮に交渉しても、民間企業の労働組合でのように、


    「もう少し給料上げて」

    →「ダメだ」

    →「スト」

    →「……わかったから。じゃあ来月から少し上げることにするから……」

のような流れはムリなのです。
(これは民間でもダメかもしれませんが、あくまでもたとえなので……)


では「職員団体」は何をやっているのか。


というか、何ができるか、なのです。

先ほども書きました通り、職員団体では労働三権の一部に制約があります。


もうこの時点でかなりややこしいので、ここでも「地方公務員」で見ていきます。
(※ 国家公務員でも、このシステム的なものはほとんど同じです)


    団結権: これはあり

    → ですので「職員団体」を組織することは可


    団体交渉権: 交渉できる内容が制約されています

    〇 職員の給与、勤務時間、その他の勤務条件に関することは交渉OK

    〇 職員団体主体のレクリエーション的なこと(文化祭や運動会等)を含む、法に適った活動に対して地方公共団体の「交渉の受付担当機関、もしくは管理職員等(当局)」に祝辞や財政援助を要望するための交渉もOK
    (社交的または厚生的活動を含む適法な活動)


    × 管理運営についての交渉はNG

    → 前述の通り、地方公務員の勤務条件や予算を決めているのは地方議会。
    管理運営は地方公共団体のお仕事です。
    ですので、本来地方公共団体が行うべきその企画・立案・執行・予算の編成・人事権の行使・公の施設の管理や処分などについては交渉できません

……じゃあ、そこは絶対に変えられないじゃん……


── 勤務条件だけでも交渉できるなら……な気もします。

ですが、それでは根本的なことは何も変わらず、決められた範囲の予算・労働条件をそのまま受け入れるしかないのはちょっと……とも思ってしまいます。


が、実際には、


「地方公共団体の当局(申し入れられた交渉の管理・決定にあたる機関、もしくはその立場にある人)が職員団体との任意の意見交換によって得た情報を、管理運営に役立てることは、まあ良し」


とされています。


民間企業の労働組合に比べ職員団体にはいくつもの制約があります。

ですので、勤務条件、強いては生活の向上を図るための「暗黙」的な措置も一応はとられているのです。


さて、ここでもう一つ。


「団体協約締結の禁止」


ここも民間企業と大きく異なる部分です。


民間企業の場合ですと、先ほど書きました、


「もう少し給料上げて」→「ダメだ」→「スト」→「……わかったから。じゃあ来月から少し上げることにするから……」


ですね。

労働組合と使用者(企業)側との間で労働条件等についての約束が交わされれば、法的な拘束力が生じることになります。

これが「団体協約締結」。


国家公務員の場合は要求を出し、当局側も交渉に応じる義務はあるのですが、それに対し契約を取り決めることまではできません。


地方公務員では、書面による協定は認められているものの、それに対する法的拘束力はなし。

ですが、できるだけ現実のものとするための努力は要求されます。


地方公務員の方が、国家公務員に比べ交渉事項が実現化する可能性は高くなることに。


そして、

    団体行動権(争議権): なし

「国民みんなのために(地方公務員では地域住民のために、のような感じですが)働く人たち」


だからですね。

ストライキなどで、国民を困らせ、その利益を損ねる、というのはそもそも公務員としての本意ではないのです。


── これが「職員団体」の本来の姿。

実情がどうあれ「公務員の勤労条件等の維持・改善を図る」ために組織された団体です。


現在の職場に不満がなければ、特に必要がない組織といえばその通り。

加入は強制ではありません。

ですが、現在の働きやすい環境は、かつて先輩たちが職員団体として、行動を起こしてくれた結果なのかもしれません。


とはいうものの、職員団体が、ほぼ本来の機能を果たさずもはや「親睦団体化」している、というのもよく耳にする話。

前述の通り、レクリエーション等、それらへの財政援助は交渉できるからです。

毎月安くない組合費を、そのようなことに使われるのは納得できない、というのももっともです。


さらには、職員の勤務条件等改善のためにあるべき団体のはずなのに、なぜ支持する政党への応援的活動ばかりしているのか。

これもよく聞く不満です。


地方公共団体の長(トップ)が変われば、今まで普通に行ってきたことがガラリと変わってしまう可能性も出てくるからです。

そしてこの「トップ」は選挙によって選ばれるのですね。


自分たちの組織の要求が聞き入れてもらいやすい、つまりは働きやすい環境を維持もしくは改善してもらうためにも、どうしてもある程度そうなってしまう。
(※ いい、悪いではなく)


── でも「政治的行為」って、公務員ダメでしょ?


ダメです。

規制はあるのですが、すべてがダメではなく、


「政党や政治団体の役員になったり、結成に係わったり、構成員になるよう他人に勧める、などはダメ」

「でも地方議会選挙に係わること自体は、規制が課せられる対象行為ではない」



つまり、合法。


ちょっとモヤモヤするものを感じないこともありませんが……


労働三権に制約が設けられている以上、使用者である地方自治体のトップが誰になるのか、というのは結構な死活問題。

理由がわかれば、そうする気持ちも、わからなくもないのです。


そして残念ながら選挙によりトップが変わることで、勤務条件が悪くなってしまった場合。

その状況を打破できる可能性を持っているのも「職員団体」。


── なんと言いますか……公務員の方というのは何かと大変なのですね。




公務員のアレコレをまとめる!

皆さまお疲れ様です。


全体の奉仕者「公務員」。

難しい公務員試験をパスした優秀な頭脳の持ち主たちであることは間違いないのですが、なぜかことあるごとに叩かれてしまう……

民間企業に転職したくなる気持ちもわかります。

でも、民間から公務員に転職したくなる気持ちもわかる気がする……


では、最後におさらいです。

もう一度公務員のアレコレについてまとめていきましょう。
(※ 本当におさらいなので、お疲れの方は読み飛ばしてしまってください)

メリット・デメリットは?

    〇リストラや倒産がなく、給与面でも安定している

    → 給与・人員の削減も増えていますが、よほどのことがない限り仕事を失うリスクはありません。


    〇各種手当が厚い

    → 扶養手当に始まり、住居手当・通勤手当・寒冷地手当・僻地手当……などなど、かなり手厚いです。


    〇社会的な地位・信用ができる

    → 住宅ローンなどを組む際にも、かなり優遇されるようです。

    〇ボーナスが多い

    → 多いです。退職金も多いです。

    △(地方公務員では)転勤がほぼない

    → 転勤の多い企業などですと持ち家を持つことは難しいのですが、その点公務員(地方)は有利
    その分、職場での人間関係も密になるため、デメリットとなる場合もあり。


    △仕事がしやすい / 楽 / 有休がとりやすい / 昼休みがゆったり取れる など

    → 職場にもよりますが、忙しい部署は本当に大変。激務となることも。
    ただし、女性の産休・育休が取りやすく、その後の職場復帰も民間企業に比べとてもスムーズに行えます。


    △仕事が退屈である

    → ルーティーンワークが多いのは事実。ですがかつてに比べれば、提案等が受け入れられることも増えてきています。

    ×仕事を頑張ってもなかなか評価してもらえない

    →「×」というほどでもないかと思いますが、基本的に利益の追求とは無縁な業務内容なので、民間企業でのようなわかりやすさはないです。
    成果を出せば若くてもそれに応じ給与がアップ、ということはありませんが、代わりにほぼ毎年、少しずつ上がっていくシステムです。


    ×クレームが多い

    → ……一般の企業に比べれば多いかも。
    特に役所の窓口などでは、住民の皆さまが理不尽なクレームを、ということも、なくはないです。


    ×将来的には大企業に勤めている同期に収入面では負ける

    → ですが公務員の年収が低いというわけではありません。大企業以外と比べれば、むしろ多いです。


    ×転職時の評価が低い

    → 公務員としての業務と、民間企業のものとでは内容がまるで違うため、経験として評価されることはありません。



転職したい!

「転職時の評価が低い」のは公務員から民間企業へ、の場合。


年齢が若い方の場合は、公務員試験に合格できるほどの優秀さが評価の対象となります。

40歳以上の方に対しては、多くの場合管理職としての経験が条件に。

「利益の追求」ではない業務に携わってきたことは管理職の経験として評価されないばかりか「お役所的な仕事に染まっている人」のように捉えられ、厳しい状況になってきます。


転職先の社風なども参考に、慎重にご検討ください。


民間から公務員への転職では年齢により受ける採用試験が変わってきます。

「30歳まで・30歳以上」限定などですね。


「30歳まで(稀に35歳まで・上限設定なしも)」の試験の方が「専門試験」があるため勉強が大変です。

「35歳以上」では「教養試験」のみの場合が多く、働きながら準備を進めることも可能。

併願もしやすいですが、倍率も「30歳まで」の試験に比べ高くなります。


いずれの場合も、本当に転職すべきかをしつこいくらいに考え、する! と結論したなら早めの行動を。

そして、頑張ってください!

労働組合については?

民間企業での「労働組合」にあたるものが公務員では「職員団体」となります。


ですが「労働三権」の一部に制約があり、以下の通りとなっています。


  • 団結権: 経済地位の向上を図るための団体を作ることは認められています

    → ですので「職員団体」が存在しています。

  • 団体交渉権: 一部に制約あり

    → 交渉できるのは主に職員の給与・勤務時間など、勤務条件に関することのみ、とされており、本来地方公共団体がすべき、管理運営についての交渉はできません

  • 団体行動権: なし

    → ストライキ等、争議行為は一切禁止されています

  • △団体協約締結の禁止

    → 地方公務員の場合のみ書面による協定は認められていますが、それに対する法的拘束力はなし。
    民間企業のように、使用者側・労働組合間の交渉で交わされた約束により契約が結ばれる、ということはありません。

加入は任意。

それぞれの職場によっては、加入するのがバカバカしく感じる状況であることも多いようです。


ですが「職員団体」とは、本来であれば「団結権」「団体交渉権」で認められている通り、


「職員の経済地位の向上を図るため」
「給与や勤務時間等、勤務条件の改善を図るため」



に作られた団体、なのです。




終わりに……

不景気になるとなぜか叩かれ(給料が安定しているから)、

議員などが問題を起こしても叩かれ(同じ公務員だから)、

好景気になっても特別に人気が出るわけではない(仕事が退屈そう、実力で勝負できない、などのイメージと現実があるから)公務員
──



「メリット・デメリット」は、受け止め方で真逆にもなります。


ですが実際には思っていたほど「楽」でも「退屈」でも「残業がない」などといったこともない。


そこを了解した上で「公務員になりたい」という方には、もう天職かと思います。

そうでない場合には、数年後に後悔することになる率は高め。


転職をお考えの皆さまは、くれぐれも慎重に、です。


現在公務員として働いている方も、お疲れ様です。

冒頭でヘンな少年が失礼なことを言って、すみません。

思っていた以上に大変なお仕事だったのだな、と痛感しております……



── さてさて。

今回も長文になってしまいすみません……最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございます。


「公務員」のメリット・デメリットについて、そして実際に働いている公務員さんについて、皆さまに少しでも「そうなんだぁ」などと感じていただけていましたらうれしいです。


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