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「オール電化? 全部電気?……電気代、凄そうじゃん」

「でも、電気代以外、かからなそうじゃん」


──「あ……そうか」



料理
……いや、水道代もかかります……



ですが「オール電化」とはこういうこと。


ガスコンロの代わりにIHクッキングヒーター、ガス湯沸かし器の代わりにエコキュートや電気温水器など電気を利用した給湯器、石油やガスストーブの代わりに電気ストーブや床暖房……


ガス・ガスと連呼してしまいましたが、要するにガスの代わりを電気が引き受けてくれているのがオール電化です。


オール電化でない、まだまだ一般的な部類に属す住宅は「オール」ではないだけ。

「電気」も使え、ついでに「ガス」も使えます。

でも「オール電化」では「ガス」の選択肢がない。


問題は、それが果たしてメリットになるのか、デメリットとなってしまうのか、という部分です。


冒頭の会話は一見おバカなように聞こえ ── もしかしたら本当におバカなのかもしれませんが ── 核心はついていたのですね。


今回はこの「オール電化」について。


    「省エネ・電気代削減」といった謳い文句は本当なのか?

    電気代が減らせる以外のメリットは?

    でも、いうほど導入している住宅や賃貸物件が多くないのはやっぱり……?

    決定的なデメリットはないのか?

    うちもオール電化にしようかしら?

    オレ、今度引っ越すときは……

などなど、
賃貸物件についても含めましてオール電化の「メリット・デメリット」を紹介いたします。

先に答えを言ってしまえば、


「お得に使える人にはお得!」
「そうでない人には損!」



身も蓋もないですが、これが正解。


使い方によっては本当に電気代が節約できます。

この「賢い使い方」を知っているかいないか、がオール電化生活の明暗を分けることに。



── だからそういうことはちゃんと初めに教えておいてもらわないと……



……はい。
ですので今からそれを……



……まずは「オール電化は省エネ・電気代削減を可能にする!」とされる仕組みから見ていってみましょう。



オール電化はお得?! その仕組みは?

オール電化のメリットとしてまず挙げられているのが、


「ガス代が基本料金も含め一切かからない」


こと。

それは……そうです。

だから「オール電化」。


そして、


「電気代の安い深夜電力を利用することで、電気代を節約できる」


部分的にはこれもその通りなのです。



── さて、2016年以降大規模な工場やオフィスなどだけでなく、一般の家庭などすべての消費者が電力会社や料金プランを自由に選べる「電力の小売り自由化」がスタートしました。

(大規模な工場等に限定しての小売り自由化は実は2003年から)


従来通りの、どの時間帯であっても料金の変わらないスタンダードなプランを利用されているご家庭も多いかと思いますが、夜間の電気代が安くなるプランを選択することもできるようになっているのですね。


共働きで日中ほとんど家にいないご夫婦や、夜型生活の一人暮らしの方たちにはうれしい料金プランです。


オール電化でのメリット「安い深夜電力を利用」というのも、これ。


ガスも併用できるご家庭などと違い、オール電化住宅では電気オンリー。

電気代削減への思いはなおさら熱く切実なのです。


これをうまく利用しているのが前述の「エコキュート」や「電気温水器」。


かつて主流だったのがヒーターを熱源としていた「電気温水器」、現在の主流は「エコキュート」です。


その(エコキュートの)お湯を沸かす仕組みは簡単に書けば以下の通り。


    「空気中に含まれる熱エネルギーが、エコキュート内で圧縮されることでさらに高温になる」
    (気体の分子がぶつかり合うことにより)

    「最高温度になった『元・熱エネルギー』が水に熱を伝える」

    「お湯ができる(最高約90度)」

    「そのお湯を真空断熱材などで保温された貯湯タンクに貯めておく」

    →「必要に応じて使う」

この圧縮に電気が使われるのですが、使う電力が非常に少なくて済む、というのもエコキュートの優れた特徴の一つです。

そしてこの「非常に少なくて済む電力」をさらに「安い深夜電力を利用して日中の分のお湯も作っておこう」というのが「電力削減」に繋がる部分。


仕上げにものすごく高温に熱した石をスープや具材の入った鍋の中に入れ沸騰させる豪快な調理法がありますが、あんなイメージ(……わかりにくかったでしょうか。秋田の「石焼桶鍋」という郷土料理です)。


しかも高温にするために使われるのはガスではなく電気。

かつその電力はほんのちょっとで済む。


こうして安い電力の時間帯を利用し作られ貯められたお湯が1日を通して利用できる。


お得だ……


な仕組みです。


この「電力の安い深夜のうちに1日に使う分のお湯を沸かしておける」というのがオール電化での節約ポイントとして挙げられる最たる部分かもしれません。

これがガス給湯器ですと、その都度沸かすことになる。

ガス料金は1日を通して均一です。

深夜であっても昼間であっても変わりはないため、いつ沸かしてもいいわけなのですが、都市ガスに比べ料金の高い傾向にあるプロパンガスを使う場合と比較してみれば、これはかなりの節約になるかと思います。
(電気代の節約というよりガス代の節約ですが)



── さてさて、金銭的なお得はいったんおいておき、オール電化では「IHクッキングヒーター」「空調関係」などもガス併用時とはガラリと変わることになります。


続いて、これらを含む「お得」とは特に関係ないけれど「メリット」な部分を見ていってみましょう。

(※「エコキュート」は正式には関西電力が商標登録している「自然冷媒ヒートポンプ給湯器」の名称。
ですが長いので、以下「自然冷媒ヒートポンプ給湯器」=「エコキュート」として書かせていただきます)




オール電化、その他のメリット

「IHクッキングヒーター」。

見るからにお手入れが楽そうです。


五徳コンロのように「そこの隙間!!」のような掃除の際のじれったさがないフォルムになっています。


ここも非常にポイントの高い部分なのですが、やはり何といっても「火を使わない」というメリットは大きい。


ガスコンロ使用時の憂鬱、真夏にはそうめんを茹でるのもイヤになるほどの熱気から逃れられます。


当然炎が出ないため、衣類などに火が燃え移るなどということもない。

火災の危険性は低くなります。

小さなお子さんがお手伝いしてくれる際にも安心。


また、ガスを使用していないので、万が一のガス漏れも起こりようがありません。

燃焼時の二酸化炭素の発生もなし。

空気も汚さないのですね。


そして案外多くの方が懸念されている「火力」の問題。


── 出ます。


最近のIHクッキングヒーターは200Vのハイパワータイプのものも増えてきているため、むしろガスコンロでの火力より強力。

IH、なかなかやるのです。


そして空調設備ですね。

ガス系のものは一切使えません。


が、これに関しては、それほどデメリットもない代わりに、メリットもないかも……


オール電化でなくても冷暖房機器にはエアコンや扇風機、こたつやホットカーペットなどを使われていることも多いと思います。


憧れの(私の)床暖房もオール電化では選択肢の一つですが、こちらに関してはまた別口の諸々のメリット・デメリットがあるのですが、ありすぎるので今回は割愛させていただきます。
ですが、この選択もあり。


そして「エコキュート」。


前述の通り、エコキュートは沸かしたお湯をタンクに貯めておく仕組みとなっています。

これが非常時、多くの方々にとって「電気代削減」とは比べ物にならないほどの助けとなってくれたのです。


非常用水の確保。

これ、本当に大事です。


震災等起こった際には断水もしますし、電気もガスも止まります。


一人暮らし経験があれば、体験済みの方もチラホラいらっしゃるのでは、と思うのですが、ライフラインの中でも(料金未納の場合)最後の最後に止められるのが水道です。

電気が一番初めに止まり、次いでガス。


もはやこれまでか……と思ってからしばらくは水、止まりません。


それほど水は必要不可欠と位置付けられているものなのです。


これがタンクにある。

タンク内の水(本来ならお湯ですが電気供給がないのでその時には水)は実は飲用水としては使えないものとされています。

通常時は再沸騰させる必要のあるものなのですが、そこは「非常時」です。

背に腹は代えられません。


── 最悪、飲んでもいい。


停電時であっても、タンク内の水は取り出すことができます。

飲まない方がいいですが、トイレなど生活用水として使えるのもありがたい。


そして、電気。

復旧の速さがガスに比べ段違いに早いのです。

水が確保できていて電気が通れば、いつも通り。


── エコキュート、そしてオール電化、ナイス。


このメリットは先の震災時に実際に発揮されたものです。


私事で恐縮ですが、阪神淡路大震災を経験し「絶対にライオンズマンション以外には住みたくない」と言っている知人がいます。

彼の見た範囲ではライオンズマンションだけが崩壊から逃れていたそう。


あくまでライオンズマンション、というのは「彼の見た範囲では」なのですが、震災時に「エコキュートに助けられた」という方の多くは、仮に引っ越しを余儀なくされた場合でも「オール電化物件」を条件にすることが多いようです。


それは……ものすごくわかる気がします。


震災等「非常時」に遭遇することを前提とするのはイヤ、それより毎日の快適さや毎月のお支払いの方が……というのも大切。


お風呂に常に水を貯めておく、などでも非常用水の確保はできますし、それ以外の方法もいくらもあると思います。


ですが節約だけでないオール電化のメリットもある、ということも「へぇ、あるね」的に忘れ去らずにいていただけると、これから書かせていただく「デメリット」部分の量に関して私の罪悪感が軽減されます……



では、続いてオール電化の「デメリット」について。


お得を差し引いてもメリットはあるのです。


── でもデメリットも結構あるのです……




オール電化のデメリットは?

ではまずは「IHクッキングヒーター」から。

一番平和なデメリットです。


── IH、煽(あお)れません。


パラパラチャーハン……


そして、炎を利用した炙(あぶ)りもできません。


カツオのたたきはどう作ればいいのか……


売っているのを買えばいいのですが、ご自宅で生カツオからのたたきはムリ。


これは構造上仕方がないのですね。

くっついていないと、火力が伝導しない仕組みなのがIHクッキングヒーターです。


その接地面は直径12~25㎝。

案外ありますが、底が平らでないモノはダメ。

土鍋とか、ムリ。


チャーハンはもう諦めましたが、鍋やフライパンなどもIH対応のものでないと使えません。


── でも、火災への安全性がある。


ですが、そこを過信してしまうと危ないこともあるのです。


ガスコンロの炎の代わりとなるものがIHでは「高熱」。

加熱をし続ければ発火の危険性も高まります。


しかも鍋でもフライパンでも、接地面には均等に電気による熱がかかる仕組みです。


危ないですので、付けっぱなしには本気でご注意ください。


触れば火傷もします。

利用には、ガスコンロ使用時とは違う、IHならではのしっかりとした認識とそれに対する注意も必要なのです。


空調器具に関しましては先ほどの通り。


それほどのメリットもデメリットもない……

ですが、本当に寒い地域にお住いの方には、あっという間に部分的にでも暖かくしてくれるガス製品がないのは辛いかもしれません。


さて、ここら辺からデメリットが加速していきます。


まずは「お得」なメリットの大部分を占めていた「安い深夜電力を利用」。


オール電化住宅のほとんどで選ばれているのがこれ。

「深夜電力が安くなる」プラン、実際には「深夜料金は」安くなるプラン、です。


その代わりに深夜以外、特に昼間(午前10時から午後5時まで)の電気料金はかなり高めに設定されているのですね。

安くなる午後11時から朝の7時までの料金と比べ、各会社での若干の差はあるもののおおよそ3倍以上割高に。


そして「エコキュート」で貯めているのはお湯。

あくまでガス湯沸かし器の代わりです。


通常の生活で使う電気とは話が別。


深夜の時間帯に電化製品等を集中して使えばもちろん電気料金の削減となるのですが、このメリットを享受できるご家庭というのは限られてきます。


例えば専業主婦のお母さま。

深夜電力で沸かしたお風呂に家事が一段落したお昼に入る分には問題ありません。

ですがランチに電子レンジを使う、となるとかなりの罪悪感とそれに比例する電気代がかかってしまうことになります。


深夜の電気料金は安い。でもその分、日中の料金が高い……


仮にタイマー機能等を使い洗濯や炊飯などを夜間に行ったとしても、日中家にいれば電気は使います。

レンジに限らず、こたつに入るのもエアコンをつけるのも、ついには部屋の明かりをつけることすら気になってくるかもしれません。

これは夜の電気料金が安くなるプランを選択しているご家庭であればどこでも同じことなのですが、この時「ガスが一切使えない」というのがオール電化では痛いのです。


── 作ったものをすぐに食べればいいだけの話じゃない。レンジなんかに頼らなくてもお料理はできるのよ……


ここでIHクッキングヒーターの登場。

現在増えてきている200Vのハイパワータイプですね。


……ハイパワー……


電気代を食います。

ハイパワーだから。


── もう……


そして、薄々お気づきかと思いますが、IHを単品で買ってきてコンセントを挿して、といった使い方はできません。

高電圧に対応できる配線などの工事(費)も必要。
(※ 一般のご家庭の電圧は100V)


契約アンペア数も変える必要が出てきます。

アンペア値が高くなれば基本料金も上がる。


そしてIHにプラスで「エコキュート」。


以前に比べ種類も豊富になり、本体価格、工事費等も安くなってはいますが、それは「以前に比べれば」です。

普通に高い。


IHクッキングヒーターの導入費と併せれば、30~40万円ほどが飛びます。


オール電化の最大のデメリット(金銭面)はこの初期費用の高さ。


さらにエコキュートには設置場所の問題も出てきます。

大きいのですね。


薄型のものもあるのですが、その分タンクの容量が少なくなります。

貯めておけるお湯の分量が少ない。

つまり、深夜に貯めたお湯だけでは1日分をまかなえなくなる場合も出てくるのです。
(※ ご家庭での1日の水の使用量がタンクの容量を上回る場合)


── 仕方ない……昼間の高い電気料金を使ってお湯を沸かすか……


電気代削減どころではなくなってしまいます。


── 置き場所はある。だから初めから大きな容量のタンクを選ぶ。


タンクの大きなものであればお湯が切れて昼間に沸かす、ということもなく、確かに損はしません。

ただしその分初期費用がグンッとアップ。


最近のエコキュートはかなり機能も充実しており、このようにタンク内のお湯が足りなくなってしまわないよう、あらかじめ1日の使用量を設定しておけるものも増えてきています。

無駄なく使うことができるようにもなっているのですが、突発的な出来事というのは唐突にやってくるもの。


急な来客やお子さまの帰省などで「湯切れ」を起こし、足し湯や追い炊きができない……ということもあるようです。


そして「停電」。

電気がストップしてしまえば、何もできなくなってしまいます。

先ほどは震災時のエコキュートの活躍について書かせていただきましたが、オール家電は給湯器だけでなくすべて電気利用です。

諸刃の剣。


いい部分もあるのですが、ガス設備がないため、お湯も沸かせなければ調理もできません。


計画停電、というのもありました。

もう、こうなったらカセットコンロを買ってくるしかありません。

実際に当時、かなり売れています。


しかも冬場なら暖房器具もアウト。

停電時のことも考え、反射式ストーブ等の備えも必要となってきます。


…………


あともう少し。


エコキュートやIHクッキングヒーターにも寿命があります。

エコキュートは大体10年~15年、IHでは10年前後。


仮にオール電化を導入したことで光熱費が抑えられたとしても、下世話な話で恐縮ですが、一般的には初期費用の回収(元を取る)には10年はかかる、と言われています。


このタイミングで買い替え……?


それ以前に故障することもあります。

修理で直らなければ、やっぱり買い替え。

定期的なメンテナンスも必要(エコキュートの場合)。


しかも保証期間がずっと続くわけでもありません。

期間を過ぎれば、修理費などはプラスのコストに。


── よし、ここはガスだ。ガス生活に戻ろう……


そのためには改築工事……



ですので、オール電化は慎重に検討しなければならないのです。


共働きや一人暮らしで、日中にはほとんど家を空けていて、家事などに割ける時間がどうしても夜間になってしまう、といった生活であればオール電化での「安い深夜電力利用」は十分なメリット。


会社にもよりますが、一般的に都市ガスに比べ料金が高めに設定されているプロパンガスからの乗り換えでも、ランニングコスト(光熱費など、運用にかかる費用)は抑えられるかと思います。


ですが、その前に初期費用。


これをクリアして初めて料金的なメリットが返ってくるのですね。


そして1日を通して常にどなたかが家にいる、といったご家庭ではむしろ高くつく可能性が高いです。


オール電化では、基本的に深夜の安い電力を使用することが前提とされています。

決め手となるのはそれぞれのご家庭(一人暮らしの方も含め)のライフスタイルが、この前提に合うかどうか、です。


導入するにせよ、しないにせよ、ぜひぜひ納得のいくまでじっくりご検討いただければと思います。




賃貸ではオール家電物件を選ぶべき?

オール電化のメリット・デメリットは賃貸であっても新築やリフォームでの導入の場合であってもそれほど変わりはありません。

ガスを使わないので、部屋はクリーンに保てますし、炎による火災の心配もありませんが、夜の時間帯よりも昼間に電気を多く使えばその分電気料金は上がります。


家賃も通常の物件に比べ、若干高めに設定されていることがほとんど。


そして先ほどのタンクの容量問題ですね。

置く場所が限られているマンションなどでは、大抵コンパクトサイズの給湯器が使われることになるかと思います。


貯められるお湯もコンパクトとなるため、1日に使う量が多い方やご家庭では、ここはかなりのデメリットになります。


また、給湯器の設置や種類・機能等の選択はオーナーさん任せ。

あらかじめ1日の使用量を設定できる、などの便利な機能が付いているかどうかも不明です。

ここは事前に確認しておきましょう。


そしてIHクッキングヒーターですね。

契約アンペア数が小さいとブレーカーが落ちます。


単身者用かご家族用かでも変わってくると思いますが、単身者用の賃貸物件の方が一般的に設定されているアンペア数は低め。

つまりIHのパワーも弱いものであることが多いです。


ご家族用でもここは同じですが、大家さんや管理会社に掛け合ってアンペア値を上げてもらうことはほとんどの物件では可能。

ブレーカーは落ちにくくなりますが、電気の基本料金は割高に。電気料金もアップです。


通常の感覚ですと給湯器(ガス)、IH(電気)なので、一緒に使っても問題ないように思えてしまうのですが、これ、両方とも電気なのですね。


ブレーカーが落ちて真っ暗になり、とりあえずコンロの明かりで……


などがムリなので、調理のいくつかの工程を同時進行で行う、というのはきつくなるかもしれません。


そして、やはりライフスタイル。


向いているのは前述の通り共働きで、昼間家を空けていることの多いご夫婦や、夜間に電気を使うことの多い一人暮らしの方など。

都市ガスではなくプロパンガス物件からの引っ越しなどでも、コストは抑えられるかと思います。

しかも初期費用や修理、メンテナンスにかかる費用もオーナーさん持ち。
(※ 入居者の使い方次第では修理が一部負担となることも)


ここは持ち家の方にはない、賃貸での大きなメリットです。


「賃貸ではオール家電を選ぶべき?」


金銭的なメリットは上記の通りですが、


  • IH専用の調理器具に買い替えなければならない
  • シャワー等の水圧が弱い(これは賃貸でなくても割とあることのようです)
  • 停電時の備えが必要

などなどのポイントもあります。


「賃貸」ですので「家を新築する」などに比べ気楽な部分もありますが、少なくとも数年間は過ごすことになる根城。

できるだけ快適な毎日をお過ごしいただけますよう、こっそり祈っております。




オール家電のポイントあれこれ♪

今更ですが「オール電化は省エネなのか?」について、まったく触れていませんでした……すみません。


個人的には「特に省エネとは言えない」と思っています。


少しの電力でお湯を沸かせてしまえる技術は素晴らしいと思いますし、二酸化炭素も増やすことはありません。


ですが代表的な省エネ対策、「エアコンの設定温度を(夏場)28度に保とう!」などでもわかります通り、電気も立派なエネルギー。

ガスは使わなくなっても、電気をその代わりとしているわけです。


どうしても省エネには、


「使ってない電気、消しなさい!」

「冷蔵庫は開けっ放しにしないの!」



なイメージが強いのです……

エネルギー源を電気のみでまかなっているオール電化。


「省エネ」に繋げるには、やはり「オール電化に変えて光熱費がかなり抑えられるようになった!」となる使い方が大事なのだと思います(私見です)。


── さて、とりあえずそこはさておき、です。


ここでもう一度オール電化を検討する際のポイントをおさらいです。

最後にサクッとまとめていってしまいましょう。


ガス

ガスがなくなると、何が変わるの?

調理器具や給湯器、冷暖房器具が変わります。


  • 「ガスコンロ」から「IHクッキングヒーター」に
  • 「ガス湯沸かし器(給湯器)」から「エコキュート」「電気温水器」など電気を利用する給湯器へ
  • 「ガスストーブ」「石油ストーブ」などのガスによる暖房器具から「電気ストーブ」や「床暖房」「エアコン」「蓄熱式暖房器」などの冷暖房器具へ

オール電化の「メリット」は?

    料金関連(エコキュート)

  • ガス代が基本料金すら必要なくなる
  • 安い深夜電力を利用することで、電気料金の節約につながる
  • プロパンガス利用時に比べると、多くの場合ランニングコストが抑えられる

  • IHクッキングヒーター関連

  • IHクッキングヒーターのフォルムはフラット。お手入れが楽チン
  • 火を使わないため、火災への安全性が高まる
  • 熱気が充満しない
  • 二酸化炭素を増やさない(ガスを燃やさないから)
  • ガス漏れや不完全燃焼などによる一酸化炭素中毒の危険性もなし
  • クリーンな空気が保てる
  • ガスコンロのアバウトな火力調節に比べ、細かな温度調節が可能
  • ハイパワータイプなら、火力でもガスコンロに引けを取らない

  • 冷暖房関連

  • IH同様、空気が汚れない

  • エコキュート関連

  • 非常時にはタンクに貯められているお湯が生活用水として使える(停電時でも取り出せます)
  • その都度沸かすことなく、いつでも適温のお湯が使える

  • その他

  • 災害時の復旧は電気が最も早い

デメリットは?

    料金関連

  • ガス料金は発生しないが、電気でまかなった分は電気料金として上乗せされる
  • 上手に使えばトータルでは安く抑えられるが、そうならない場合も多々ある
  • なぜなら深夜料金が安い分、それ以外の時間帯、特に日中の電気料金は高く設定されているから(夏場と冬場でも違いあり。夏季の方がさらに割高)

  • IHクッキングヒーター関連

  • 初期費用が高額
  • 炎による事故は起こりようがないが、調理器具等は高温になるため、発火事故が起こらないわけではない
  • フライパンや鍋などはIH専用のものが必要
  • 二酸化炭素は増やさないが、電気エネルギーをかなり消費
  • 接触していない限り熱が伝導しない仕組みなので、フライパンなどでの煽りができない
  • 同様にガスの炎を利用する炙りも不可
  • 単身者用の物件などでは契約アンペア数の問題でパワーの弱いものが設置されていることも
  • 調理の醍醐味が薄れる(個人差あり)
  • 永遠に使えるわけではない(10年前後が買い替えの目安)

  • 冷暖房関連

  • 停電したらアウト

  • エコキュート関連

  • 初期費用が高額
  • タンクに貯められたお湯を飲用水とするには再度沸騰させる必要あり
  • タンクの容量に限りがあるため、少ないタイプでは深夜以外(昼間など)電気料金が高く設定されている時間帯で沸かし直す必要あり
  • が、容量の大きなものは初期費用も高い
  • 設置にそれなりの場所の確保が必要
  • マンションなどでは、そのためコンパクトサイズのものに
  • サイズが大きくても湯切れでの可能性・そのための不便あり
  • 定期的なメンテナンスの必要あり
  • 故障することもあり
  • 修理では追い付かず、買い替えの必要もあり
  • ……寿命あり……(10~15年ほど)

  • その他

  • 導入コストが高額
  • 停電時のダメージ



終わりに……

── デメリット多すぎ……オール電化、ダメじゃん……


……そんなことはないです。


ただ、ハードルは高い。

といいますか、初期費用が高い。


その後も、下手をすると何のメリットも感じられないまま「何で大金かけてまで、こんな不便な生活を選び取ってしまったのか……」となる可能性がないとも言い切れません。


ちなみに都市ガスですが、オール電化での深夜の安い時間帯とほぼ変わらない料金が1日中続きます。


ですので、オール電化は場合によっても金銭的には大きなメリットとならないことは多いのです。

が、上手に使えばいいところもたくさんある。


ただし、販売業者さんたちも商売なので、どちらかというと、大幅に偏った「メリット」部分を推してきます。

そのメリットに関しても全くウソはないのです。


── ですが、案外教えてくれない、実は知っておくべき大事なデメリットもある、というのも本当。


今後もおそらく、より節約できる料金プランや、コストパフォーマンスのいい機器等も出てくるかと思います。

太陽光発電との組み合わせなども考慮に入れれば、オール電化も決して上記のデメリットばかりではないものへと変化してくるはず。


金銭面だけでないメリットもたくさんあります(デメリットもありますが)。


ポイントはご自身やご家族のライフサイクル。


ついつい「オール電化」という響きのカッコよさにつられ「なら、それ、行ってみようか!」となってしまいそうですが、メリット・デメリットを皆さまの生活スタイルと比べ合わせ、本当の快適さを勝ち取っていただけますと、なぜか私が無性にうれしいです。



── 今回も長々と書いてしまいました……


寝ている時間も含めれば最も長くいるスペース =「家」が、皆さまにより快適をもたらす空間であり続けますよう、本気で願っております。

最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。


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